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2010年10月19日

【流通】鹿島 オーダーメイド型の土壌・地下水浄化工法をを開発

鹿島は、VOC(有機塩素化合物)により汚染された土壌や地下水を浄化する「バイオブレンディー工法」を新たに開発した。同工法は、汚染状況(浄化目的、汚染濃度、汚染範囲、地盤、地下水流速など)に応じて、VOCを分解する微生物を活発化させる栄養剤を調合することにより、オーダーメイド型の土壌・地下水浄化を実現する。

トリクロロエチレンやテトラクロロエチレンなどのVOCによる土壌や地下水の汚染は、不燃性金属洗浄剤やドライクリーニング溶剤として広く工業利用された結果、電気・電子や機械、クリーニング工場など様々な工場跡地などで検出される機会が多くなっている。国内では土壌・地下水汚染の1/3程度を占める。

これまで、VOCの汚染対策は、井戸を掘って汚染物質を揚水する方法や掘削除去する方法が一般的だったが、浄化までの期間や設備費、掘削後の汚染物質の処理費などが課題となっていた。汚染除去が確実な方法として、鉄粉による還元法も使われているが、高コストとなり採用が見送られるケースもあった。また、土壌汚染対策法の改正により、原位置浄化など、汚染土壌を搬出しない対策が強く求められるようになった。

このような背景から、低コストでVOCを原位置浄化する「嫌気バイオ法」が注目を集めている。嫌気状態(酸素の無い状態)では、VOCを分解する微生物は酸素の代わりに汚染物質を栄養源に生物活動を行う。この仕組みを応用した方法で、汚染物質が存在する場所に栄養剤を注入することにより、地中に存在する分解微生物の働きを活発化させ、浄化を促進する。しかし、汚染状況(浄化目的、汚染濃度、汚染範囲、地盤、地下水流速など)を把握して、適切な栄養剤を使わないと浄化ができないことがあり、汚染場所に正確に栄養剤を注入する工法の選択も難しく、高度な管理技術が求められる。

鹿島は、ドレッシングなどに使われるエマルジョン油、乳製品、コーヒーから抽出した成分などをベースに、汚染状況に応じて、様々な化合物を混ぜ合わせた栄養剤を用いる「バイオブレンディー工法」を開発した。即効型や持続型など汚染状況に応じた最適な栄養剤を作り出すことができる。同工法の特徴は、低コストで高い浄化効果を持つことで、独自開発したエマルジョン油は、従来にないナノサイズの粒径(平均250〜400nm)を実現し、地盤への優れた浸透性を可能にした。

同工法に加えて、これまで培ってきた様々な土壌改良や拡散防止などの施工技術を組み合わせることにより、完全オーダーメイド型の嫌気バイオ工法を実現できる。これにより従来工法と比較して工事費全体で約5〜20%のコストを削減できる。

今後、鹿島では、低コストで確実な浄化が可能な本工法をVOCに汚染された土壌・地下水の浄化技術として積極的に展開していく方針にしている。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通