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2010年10月05日

【アジア】三井物産 インド医薬品中間体・原薬製造受託企業に資本参加

三井物産は、医薬品中間体・原薬製造受託事業(以下:CMO事業 (※1))を手掛けるインド共和国のアーチ・ファーマラボズ社(以下:アーチ社)の第三者割当増資の引受けについて合意した。2010年10月中を目処に、三井物産はアーチ社株式の約5%を約12億円で取得する。この契約により、三井物産は総合商社として初めてインドでの医薬品のCMO事業に資本参加することになる。

アーチ社は、ムンバイに本社を置く有力な医薬品中間体・原薬製造受託メーカーで、インド国内に複数の製造拠点と開発拠点を保有し、高い技術力と広範な製品ポートフォリオを基盤に、欧米の大手製薬企業をはじめ、中東・東南アジア等の製薬企業に高血圧、高脂血症、抗生物質、抗がん剤等向けの中間体・原薬を供給している。

三井物産は、欧米及び日本の製薬企業との40年以上にわたる取引関係を通じ、医薬原料・中間体・原薬の供給から、製薬企業に対する製造委託の提案や製造管理・物流支援まで、製薬企業の医薬製造支援を幅広く行っている。アーチ社への資本参加は、世界の医薬品原料・原薬の製造拠点として成長著しいインドでの医薬品中間体・原薬の製造受託体制の強化を目指すと共に、アジアの医薬品原料市場の高い潜在性に注目した。

世界の医薬品業界は、新薬開発費の増大や、いわゆる2010年問題(※2)と称される主力製品の一斉特許切れによる売上減少などの課題を抱えている。欧米製薬企業では、既に開発及び製造コスト軽減のためにアジア、とりわけ価格競争力と高い技術力を備えたインドの製造受託メーカーの積極的な活用が進んでおり、今後は日本の製薬企業でもインドの製造受託メーカーを活用する動きが拡大すると予想されている。

三井物産は本事業を通じて、CMO事業で”世界の工場”となりつつあるインドの競争力ある高品質な医薬品中間体・原薬を日本の製薬企業に提供し、国内製薬業界の競争力強化に貢献して、今後、医薬品の需要の拡大が見込まれるアジア市場への安定的な医薬品中間体・原薬の供給にも寄与することを目指す。


※1 医薬品中間体・原薬製造受託事業(CMO事業)
CMO、Contract Manufacturing Organization(製造受託)は、製薬企業が自社でなく外注にて製造を行う方式で、CMO事業は製薬企業が外注した製造の受託事業。
製薬企業は、コアである研究開発へ経営資源を集中させる、またコスト削減及びM&Aによる自社製造拠点の縮小などにより、戦略的にCMO方式を活用するようになってきている

※2 2010年問題
欧米及び日本製薬企業の大型商品(ブロックバスターと呼ばれ、年間の売上高が1,000億円を超える商品あるいはそれに準ずる大型商品)の特許切れが2010年前後に集中しており、特許切れにより販売可能となる安価なジェネリック医薬品との競争により、特許切れ前の売上高を維持できなくなる問題。各製薬企業は売上や利益の維持・拡大に向けて、新薬開発の迅速化と製造コスト削減が必須な状況となっている

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:30| アジア