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2010年06月24日

【流通】大日本スクリーンと岐阜大学 次世代型薄膜太陽電池の新しい解析技術を発明

--- 大型パネルを非破壊・非接触で解析できる膜厚測定装置に搭載、世界初の製品化へ ---

大日本スクリーン製造と岐阜大学は、次世代型の低コスト太陽電池として期待される薄膜シリコン太陽電池パネルの、アモルファスシリコン膜特性を解析する新技術をこのほど発明した。この研究成果を大日本スクリーンが手掛ける「分光エリプソ式膜厚測定装置」に搭載し、今秋の実用化を目指す。

薄膜シリコン太陽電池は、大面積の電池パネルを少量のシリコンで生産できるため、量産性とコストパフォーマンスに優れ、メガソーラー(※1)をはじめとする平地設置向け太陽電池などの用途として期待されている。その一方で、ガラス基板上にアモルファスシリコン膜が生成される過程で取り込まれる過剰な水素が光劣化(※2)の原因となっており、高効率化を目指す多接合型薄膜太陽電池にとっても、大きな問題となっている。しかし、従来は薄膜太陽電池の製造時における水素含有量を正確に解析する技術が確立されていなかったため、電池パネルの性能や安定性の向上、生産の合理化が難しく、この水素含有量を解析しコントロールする技術の確立が急務となっていた。

このような中、大日本スクリーンと岐阜大学は、2008年11月から薄膜シリコン太陽電池の解析についての共同研究を進め、発電ロスが少なく安定した電池パネル生産に役立つ、アモルファスシリコン膜の解析方法の実証に世界で初めて(※3)成功。従来の技術では不可能とされてきた、光劣化の的確なコントロールに役立つ情報の数値化を可能にした。この研究成果を大日本スクリーンの分光エリプソ式膜厚測定装置の計測機能として搭載し、以前からの特長である非破壊・非接触による膜厚測定に加え、膜質まで正確に解析できる世界初の装置として製品化を進める。

大日本スクリーンと岐阜大学は、今回の産学連携研究を通して分光エリプソ式膜厚測定装置の機能を一層強化し、急激な成長が見込まれる太陽電池業界を担う新たな製造プロセスの確立を目指すとともに、世界のエネルギー産業発展に向けさらなる貢献を図る。


※1 メガソーラー:大規模な太陽光発電システム

※2:光劣化:発電効率が低下する現象

※3:2010年6月現在

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通