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2010年05月14日

【流通】冷媒循環の電力を不要とする「冷媒自然循環システム」を持つデータセンタ

--- 日立製作所 従来の空調方式に比べ、空調電力コストを最大67%削減 ---


日立製作所(以下:日立)は、省電力・高集積なデータセンタ環境を実現する「モジュール型データセンタ」に、サーバなどのIT機器を含めた設備を冷却する冷却装置として冷媒(※1)の循環に関する電力を不要とする「冷媒自然循環システム」を採用したモデルを追加、販売している。当システムの導入により、従来の空調方式に比べ、空調電力コストを最大67%削減(※2)する。

あわせて、モジュール内の温度や湿度などを管理・監視する「監視制御盤」に、空調機を自動制御できる「機能拡張モデル」を追加販売する。

「冷媒自然循環システム」は、日立が日立プラントテクノロジーと共同開発した「冷媒自然循環技術」を活用した、ラック型空調機やリアドア型冷却装置、そして水−冷媒の熱交換器やチラーなどで構成されている。当システムでは、サーバなどのIT機器の熱を吸収した冷媒が気化し上昇する力と、熱交換器により冷却された冷媒が液化し設備の高低差などを利用し下降する力を活用することで、従来必要だったコンプレッサー(※3)などの動力源を用いず冷媒を循環させることができるため、冷媒循環の電力が必要なくなる。また、外気温が10度以下の場合はチラーを用いず、外気のみで冷水(※4)を冷却できる「フリークーリングシステム」を活用でき、空調システムにかかる電力コストをさらに低減できる。

同時に、モジュール内の稼働状況を管理・監視する「監視制御盤」に、空調機の切り換えなどの制御を自動的に行う「機能拡張モデル」を追加する。従来は、センタ内の温度や湿度などの状況に応じ、手動で空調を調整する必要があったが、当モデルでは、自動的に空調を制御できる。また、空調機が故障した場合には自動的に予備の空調機に切り換えるなど、センタ管理者の運用負担を軽減する。

日立は、今後も日立グループの総力を結集したデータセンタ省電力化プロジェクトCoolCenter50(※5)に基づき、「モジュール型データセンタ」をはじめとした省エネルギー技術・製品の開発を進める。


※1 冷媒
圧縮による液化・放熱、気化・吸熱を繰り返しながら機器内を循環することで、機器を冷却する冷却剤

※2 「IT化トレンドに関する調査報告書」(出典JEITA(電子情報技術産業協会), June 2009)のデータに基づき、日立が試算

※3 コンプレッサー
冷媒を圧縮することで、冷媒を循環させる装置

※4 冷水
冷媒を冷却するための水

※5 CoolCenter50
2012年度までにデータセンタの消費電力を最大50%削減(07年度比)することを目標としたプロジェクト

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通