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2010年04月01日

【流通】水分とCO2を除去した空気を供給する「CO2除去ドライエアー供給システム」開発

---ダイキン工業 リチウムイオン電池などの製造工場向け ---

ダイキン工業は独自の新方式を採用し、水分とCO2を除去した空気を供給する『CO2除去ドライエアー供給システム』を開発した。一般的な圧縮吸着式のシステムと比べて約60%の省エネ(※1)を実現する。リチウムイオン電池など、製造工程で水分とCO2を除去した空気環境が不可欠な製品工場での採用を目指す。

水分のみを除去した空気を供給するシステムは、医薬品、電子部品、電池材料などの湿気に弱い製品材料を扱う製造工場で既に普及しており、ダイキン工業も独自の「ハニカム構造(※2)」の除湿ローターを搭載した『ハニードライ』を1980年より販売し、市場から高い評価を得ている。

昨今では、水分のみならず、CO2も除去した空気環境に対するニーズが顕在化している。リチウムイオン電池の製造工程では、高容量化に欠かすことのできない部品であるNi(ニッケル)系正極材料(※3)が、空気中の水分とCO2を吸着すると、電池性能が低下する原因になり、品質を安定させるためには空気成分の管理が不可欠。

圧縮吸着式で水分とCO2を除去した空気を供給する、一般的なシステムでは、CO2の吸着率を高めるために、処理する空気の圧力を5〜7倍まで上げた状態で、吸着剤の「ゼオライト」にCO2を吸着・除去させている。この方式では、圧縮機や高圧対応の容器や配管などで装置が大型にならざるを得ない上に、電力も多く消費していた。

『CO2除去ドライエアー供給システム』は、水分を吸着する素材「シリカゲル」と、CO2を吸着する素材「特殊ゼオライト(※4)」を使用した2種類の吸着ローターに空気を通過させ、水分を99.9%以上、CO2を95%以上除去する。吸着ローターに「ハニカム構造」を採用したことで、圧力を変えずに、効率的に空気を処理できるため、一般的な圧縮吸着式システムと比べて、ランニングコストを約60%削減するとともに、約50%の省スペース化(※5)を実現する。

『CO2除去ドライエアー供給システム』は、「ハニカム構造の除湿ローター」を搭載した『ハニードライ』の技術を進化、発展させたもので、ダイキン工業は、今後も車載用、建築機械向けに電池の高容量化、高出力化を進める電池メーカーや電池材料メーカーのニーズに応える給気システムの開発・販売を進める。




※1 約60%の省エネ
供給風量19m3/min、供給CO2 濃度10ppm 以下の条件の時、
圧縮吸着式システムの消費電力が150kw(ダイキン工業推定)であるのに対して、CO2除去ドライエアー供給システムは57kw(ダイキン工業試算)であり、62%の省エネルギー化を実現

※2 ハニカム構造
ハニカムとは英語で「はちの巣」という意味で、六角形や四角形等が隙間無く束ねられた構造を指す
ハニカム構造は丈夫であり、単位面積当りの表面積を格段に増やすことができるため、吸着ローターに採用することで、効率よく空気を処理できる

※3 正極材料
電池の正極(プラス極)と負極(マイナス極)は充電時と放電時に電荷の受け渡しをする
「リチウムイオン電池」は、正極材料として、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)などが使用され、負極材料には、炭素(カーボン)系物質が使用されている。ニッケル酸リチウムなどのニッケル系材料は、正極材料の中でも特に高電圧化が見込めるが、空気中のCO2 の影響を受けやすい

※4 特殊ゼオライト
アルミニウム、ケイ素、酸素などから成る物質
一般的に空気や原料ガス中の水分の吸着性に優れるゼオライトの中でもCO2 の吸着性を高めたもの

※5 約50%の省スペース化
供給風量19m3/min、供給CO2 濃度10ppm 以下の条件の時
圧縮吸着式システムの設置に必要な面積が約20u(ダイキン工業推定)であるに対して、CO2除去ドライエアー供給システムは約10u (ダイキン工業試算)であり、約50%の省スペース化を実現

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 10:03| 流通