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2009年10月02日

【流通】生ごみ“まるごと”バイオガス化 を可能にする技術を確立

--- 大阪ガス 生ごみからの再生可能エネルギー回収技術の向上 ---

大阪ガスは、大阪ガスの独自技術である樹脂改質技術と超高温可溶化(※1)技術(登録商標:メタソリューション)を活用し、生ごみと生ごみ回収に用いるごみ袋を“まるごと”短時間で分解・発酵し、再生可能エネルギー(※2)として回収できる高効率バイオガス(※3)化技術を新たに開発した。

一般家庭から排出される生ごみは年間1,000万トン以上あり、低炭素社会の実現に向け、これらを再生可能エネルギーとして利用することが注目されている。大阪ガスは80℃という条件で生ごみを可溶化したのちにバイオガス化することで、バイオガス発生量を20%程度増加させる超高温可溶化技術の開発を進めてきた。

従来、生ごみを回収するためのごみ袋の多くは、化学合成された石油由来の樹脂を原料としているため、バイオガス化プラントで分解・発酵し、エネルギー回収することができず、生分解性のものにおいても同様だった。また、現在の植物由来の生分解性のごみ袋においてもバイオガス化プラントでの分解には長い日数がかかる。このため、従来のバイオガス化プロセスでは、プラント投入前にごみ袋を除去し、破砕したごみ袋を処理する必要があることなどから、生ごみのバイオガス化を進めるうえで、ごみ袋は障害となっていた。

大阪ガスは独自技術である樹脂改質技術により、生分解性プラスチック(※4)の一種であるポリ乳酸(※5)を主成分とし、インフレーション成形(※6)したごみ袋の開発に目処をつけ、また、独自技術である超高温可溶化技術を活用することで、このごみ袋を分解し、短時間でバイオガスとしてエネルギー回収する技術を開発した。例えば、自治体が回収する生ごみでは乾燥重量の約10%をごみ袋が占めており、ごみ袋もバイオガス化の対象となることでエネルギー回収量を約10%増加させることができる。
これにより、破砕・分別といった手間をかけることなく、ごみ袋で収集した生ごみを“まるごと”バイオガス化することができるようになるため、全国のごみ処理工場で、バイオガス化プラントの採用が進むことが期待できる。


※1:一般のメタン発酵は30℃(中温発酵)もしくは55℃(高温発酵)で行う。大阪ガスの超高温可溶化技術は、80℃(超高温)で有機物を効率的に可溶化する。

※2:有限で枯渇の危険性を有する石油・石炭などの化石燃料や原子力と対比して、自然環境の中で繰り返し起こる現象から取り出すエネルギーの総称。太陽光や太陽熱、水力や風力、バイオマス、地熱、波力などがある。

※3:生ごみ、食品廃棄物等からメタン発酵で得られるガス。主成分は都市ガスと同じメタン。

※4:使用状態では従来のプラスチックと同等の機能を有する。使用後廃棄された時は土中または海水中などの微生物により分解され、最終的に水や二酸化炭素になるプラスチック

※5:トウモロコシ等の植物由来の原料から発酵技術により得られる乳酸を重合させたプラスチック。石油由来のプラスチックに比べ、生産から利用までのCO2排出量が大幅に小さいことが特長。

※6:押出機から押し出されたチューブ状の樹脂をまだ軟らかいうちに、口金から吹き込んだ空気でふくらませ、薄いフィルムを作る方法

 

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投稿者:gotsuat 09:59| 流通