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2009年07月09日

【流通】日立 酸化銀マイクロ粒子を用いた高温環境向けの鉛フリー接合技術を開発

日立製作所(以下、日立)は、200℃〜250℃という低温で半導体素子と基板を接合でき、かつ接合後は500℃を超える耐熱温度を有する高温環境向けの鉛フリー接合技術を開発した。この技術は、酸化銀マイクロ粒子(*1)を接合材として採用するとともに、新たに開発した還元促進剤(*2)を添加することで、200℃〜250℃という低温で加熱・還元し、銀ナノ粒子(*3)を生成させ接合する、高い耐熱性と接合コストに優れている。

自動車や産業機器に用いられる電子部品は、電流の高密度化に伴い、半導体素子の動作温度が高温になる傾向があるため、高温環境下での高い信頼性が要求されている。また、シリコンカーバイト(SiC)などの新デバイスでは、高温に耐える接合材料が望まれている。さらに、これまでの高温環境向け接合材料は、鉛を多く含んだ材料が使用されていましたが、近年では環境保全の観点から、有害な鉛を含まないRoHS(*4)指令に対応した接合材料が望まれている。これらのニーズに対し、現在研究が進められている銀ナノ粒子接合法は、鉛フリーで、銀の融点よりも低い温度で接合が可能であり、接合後に銀の特長である高放熱・高耐熱性を持つため高温環境に適した接合技術として注目されている。しかし、銀ナノ粒子は高価な材料で、かつ接合時に銀ナノ粒子を安定化する目的で用いられている保護膜を、300℃程度の加熱により除去する必要があるため、接合温度の低温化に限界があるなどの課題があった。。

このような背景から、日立は、酸化銀マイクロ粒子に還元促進剤を添加し、低温で加熱・還元する際に銀ナノ粒子が生成されることを利用した新たな接合技術を開発した。
この技術は、銀ナノ粒子接合法で求められる300℃程度の加熱による表面保護膜の除去の必要がないため、200℃〜250℃という、より低温での接合が可能になった。また、加熱後に銀ナノ粒子が生成されるため、銀ナノ接合の特長である高放熱・高耐熱性も備えた、高温環境で使用する電子部品やデバイスの接合に適している。さらに、接合材の作製や保管が容易なことから接合コストも大幅に低減でき、加えて、アルミニウムやシリコンなど表面に酸化物を形成している材料についても酸化膜を除去せずに接合できることを確認したほか、接合温度が低いことから、これまで高温での接合が難しかった有機材料の接合にも道を拓く。

今回開発した技術は、国立大学法人大阪大学(総長:鷲田 清一/以下、阪大)廣瀬 明夫教授らのグループと共同で開発した。今回開発した技術の特長は以下の通りです。


*1:酸化銀マイクロ粒子:粒子のサイズが数マイクロメートルの酸化銀粒子
*2:還元促進剤:酸化銀粒子をより低い加熱温度で銀に還元させるための素材
*3:銀ナノ粒子:数ナノメートルから百ナノメートルのサイズの銀粒子で、銀粒子表面には保護膜として有機物が被膜されている
*4:RoHS指令:Restriction of the Use of Certain Hazardous Substances in Electrical and Electronic Equipmentの略
ヨーロッパにおける電気・電子機器中の特定有害物質使用制限指令

 

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投稿者:gotsuat 10:03| 流通