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2009年06月26日

【流通】日立化成工業 金属並みの高熱伝導性と柔軟性を併せ持つ放熱シートを開発

--- 様々な電子機器の熱源と冷却モジュール間の伝熱効率向上を図る ---

日立化成工業は、様々な電子機器から生じる熱を効率良く冷却モジュール(*1)に伝える材料として、黒鉛フィラを垂直方向に配向(*2)させた「黒鉛・樹脂高熱伝導シート」(以下、黒鉛シート)と、窒化ホウ素(BN)粒子を垂直方向に配向させた絶縁系の「BN・樹脂高熱伝導シート」(以下、BNシート)の2製品を開発した。

近年の電子部品は、デバイスの高性能化に伴い、電子機器からの発熱量が増大しており、それを効率良く冷却モジュールに伝え、放熱を促すことのできる材料(*3)が求められている。しかし、熱伝導性の高い材料は硬質のものが多いことから扱いが難しく、逆に密着性の良い柔軟な材料は熱伝導性が低いことから、高熱伝導性と柔軟性を併せ持つ放熱材料が求められている。

黒鉛材料は、高い熱伝導率を有しるが、粒子単体は硬質であるため柔軟性・密着性に難点があり、これまで高熱伝導性と柔軟性の両立は困難だった。そこで、日立化成工業が長年培ってきた黒鉛の粉体加工技術、樹脂合成技術を駆使し、形状最適化を図った黒鉛粒子を、新規に開発した耐熱・柔軟性を持った樹脂中で垂直方向に配向させることにより、ハイブリッド構造の黒鉛シートを開発することに成功した。

黒鉛シートは、熱伝導率で40〜90W/mK(*4)と金属並みの優れた高熱伝導率と低熱抵抗値を実現、シート自体に微粘着性を有し密着性、柔軟性に優れ、さらに電子機器の使用に耐えられる難燃性を有している。また、黒鉛の代わりに窒化ホウ素を用いることにより、絶縁系で垂直配向性を持つ、BNシートを開発した。BNシートは、熱伝導率10〜20W/mK(*4)と絶縁系部材として極めて高い熱伝導率を実現した。

今回開発した高熱伝導シートは、アプリケーションとしては、パソコンのCPU、グラフィックチップ、チップセット、ゲーム機のメインチップやデジタルビデオカメラ等の放熱部で使用が見込まれ、特に絶縁系のBNシートは、回路周辺の電気絶縁性が要求される部品の放熱部での使用が見込まれている。



*1 冷却モジュール 電子部品から発生する熱を効率良く逃がすための仕組み電子機器上部に設置する銅やアルミニウムなどの金属製ヒートシンク等がある

*2 配向 粒子の並び方がランダムでなく、一方向に揃って並ぶこと。フィルム内に粒子が垂直方向に配向すると、配向方向に熱が伝わりやすい。

*3 近年、それらの材料は、サーマル・インターフェイス・マテリアル(=TIM)と呼ばれている。

*4 圧縮量(使用面圧)により変動

  

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投稿者:gotsuat 10:02| 流通