<< 前のエントリ合通ロジのトップページへ次のエントリ >>
2004年11月01日

【流通】産総研、環境温度で自動的に調光する次世代多機能窓ガラスを開発

――実用化に向けて積極的な官民の協力が望まれる新型ガラスの流通――

独立行政法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」)サステナブルマテリアル研究部門は、環境温度の変化に応じて太陽光熱を自動的に調節する次世代多機能窓ガラスの開発に成功し、従来の材料の最大の問題点であった可視光透過率を4割から6割まで引き上げるなど、世界トップレベルの性能を達成した。
夏に過剰の日射を遮断するための熱線反射ガラスなどが商品化されているが、光学特性が一定で季節の変化に応じて変えられない。一方、温度により光学特性が変化するサーモクロミック材料を利用した調光ガラスも研究されてきたが、可視光透過率が低いこと、断熱性が乏しいこと、温度変化による日射の調節範囲が狭いことなどから、実用化が難しかった。
産総研では、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構委託研究「エネルギー有効利用基盤技術先導研究開発」の一環として「環境応答型ヒートミラーの研究開発」を行った。これにより、多層薄膜系における光の干渉効果を活用し、サーモクロミック調光薄膜を含む高性能複層薄膜構造を世界で初めて実現することに成功した。独自考案した材料設計及び構造最適化により、可視光透過率40〜60%、太陽光調光率を従来の倍以上というサーモクロミックガラスとして世界トップレベルの性能を持った材料を開発し、さらに多機能化及び製造法の確立により実用化に向けた大きな一歩を踏み出すことに成功した。
これらの技術を総合することで、自動調光、高断熱、紫外線遮断、光触媒によるセルフクリーニングなど、複数の機能を一体とした新しい省エネルギー快適窓ガラスを実現できることが可能になった。この新型ガラスは、実用化により、エネルギーの供給不足や、オゾン層破壊による紫外線の増加など、現代の都市生活における様々な問題に対して効果を発揮する商品として期待される。今後は官民での協力における実用化、商品化と、積極的なプロモーション、及び販売ルートの構築、更には個人レベルの購入も可能となる商品化・流通網の構築などにより生活空間に普及していくことが期待される。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 13:27| 流通