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2004年08月19日

【知識】鹿島と住友大阪セメントなど、解体したコンクリートを現場で再利用する工法を開発

鹿島、住友大阪セメント、鹿島の関連会社であるケミカルグラウト、農業工学研究所は、共同でコンクリート製の護岸を改修する際に、その護岸を解体したコンクリートを現場内でリサイクルし、動植物が生息できる環境配慮型護岸を創ることができる「リサイクルポーラスコンクリート工法」を開発した。
ポーラスコンクリートとは、コンクリート護岸でありながら、植物・水生昆虫・土壌動物などの生息を可能とし、法面保護と環境保全を両立することを特徴としたコンクリート。骨材と骨材の間に形成された空隙に土を充填することで、植物や土壌動物などが生息できる空間を創出する。この工法では、従来のポーラスコンクリートに対して数倍の大きさとなる空隙を持つ環境配慮型ポーラスコンクリートの開発に成功した。
この工法の最大の特長は、現場内で破砕・分級して得られた再生骨材と、プラントで製造したセメントペーストをアジテータ車で練り混ぜる工法(ステージミキシング工法)を採用し、現場内でのリサイクルを可能としたことである。通常、ポーラスコンクリートは水セメント比で30%前後の固練りのペーストを用いるため、ミキシング能力の低いアジテータ車での練り混ぜは不可能であった。このため、2種類の特殊混和剤を新たに開発し、アジテータ車での練り混ぜを可能とした。これによって、特殊な機械を必要とせずに、現場内でリサイクルポーラスコンクリートを製造することが可能となった。また、現場内で骨材製造工程から打設工程までを行うため、場外搬出のコストを縮減することが可能。
近年、河川法や土地改良法においても、水辺の構造物に対して環境に配慮した設計を推奨する内容の改正が行われており、施工後数十年経過したコンクリート製の護岸やため池の多くがリニューアル時期を迎え、環境配慮型護岸への改修が増加傾向にある。この工法は低予算、省スペースでより環境保全に配慮した改修事業が可能になることから、リサイクル・廃棄コスト面における効率化、環境面など多面的に考慮した護岸ニーズへの対応も可能になると考えられる。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 13:34| 知識