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2005年03月02日

【知識】中外製薬、国内5工場を5〜6年後メドに宇都宮と藤枝の2工場に集約

中外製薬は、この程、生産機能の効率化と資源の集中化を目的とした生産体制の再編に着手し、現有する国内5工場を、5〜6年後を目途に宇都宮工場(栃木県宇都宮市)と藤枝工場(静岡県藤枝市)の2工場に集約することを目指すとともに、2006年1月(予定)から生産部門を一括して分社化することを決定した。
また、再編に先駆け、医療用の固形剤・軟膏剤を中心に生産している鏡石工場(福島県鏡石町)を、2005年6月末(予定)をもってニプロへ譲渡することを決定した。
4月の改正薬事法の施行により、全面的な製造委・受託が可能となる環境の下、品質・技術力を備えた製造受託メーカーが台頭することが考えられる。新薬メーカーとの医薬品生産機能の相互補完関係が強まると同時に、新薬メーカーにとっては、こうした製造受託メーカーとの連携の巧拙が、自社技術の維持・強化と効率的なコスト構造の構築に多大な影響をもたらす可能性が出てきた。今回の生産体制の再編着手は、こうした環境の変化を踏まえた中で、自社技術の維持・強化とコスト効率の追求に向けた方法として決定された。今後は、固形剤の製剤・包装機能を中心に外製化を推し進めると同時に、自社工場については宇都宮・藤枝の2工場に経営資源を集中していくことになる。
中外製薬は、2工場への集約に加えて、同一工場内で原薬・製剤を一貫して扱うことで各製品特性に合わせた規制対応や、技術・品質・コスト競争力の強化を図るなど、新薬メーカーの特質を生かす工場再編の取り組みと、ソフト面を重視した生産部門の分社化とを一体で推し進めることで、医薬品製造機能の生産性を高め、中外グループトータルとしての競争力強化を図っていく。
薬事法改正による業界再編を見越し、優れた受託技術の保有による、グループ内外企業へのサービス提供力、生産部門における新薬開発力の相互向上を狙う取組であり、生産集約拠点の選択から生産機能拡充、物流網の再編など、中・長期的な視野に立ったロジスティクス的な取組であることが伺える。規制の緩和など事業環境の変化に対応したサプライチェーン構築にロジスティクス的な決断と実行が必要不可欠となってきそうだ。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 15:53| 知識