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2006年08月01日

【流通】丸紅 食品流通強化へ

――消費者主導の流通サイクルの取組み――

丸紅がダイエー再建を主導する。消費者に近い「川下」の情報を原材料調達などの「川上」に反映させることで、一貫した商品調達や販売体制を確立するのが狙いだ。丸紅が、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズとともに2005年5月にダイエーに出資してから1年以上を経過したこの時期に、再生機構保有株の買い取りを決めたのは、ダイエーの業績が黒字基調となり、丸紅社内の投資基準に照らし「適格」となったことが大きい。 ダイエーは、再生機構の主導で不採算事業や店舗の整理などを進めた結果、2006年3〜5月期連結決算で、本業のもうけを示す営業利益が前年同期比32・8%増の127億円と業績が改善している。食品事業に特化し、遊休スペースに有力テナントを誘致する戦略により、食品部門の既存店売上高は6月まで7か月連続でプラスとなるなど再生の兆しを見せている。
「当社にとって、食品流通は重点的に経営資源を投入するべき分野だ。消費者と接点のある小売業との関係強化が重要で、新生ダイエーはその中核となる」。丸紅の勝俣宣夫社長は会見で、ダイエー株を追加取得する狙いをこう説明した。ダイエーの経営の主導権を握ることで、丸紅は「小売り流通を通じて得られる消費者のニーズを川上、川中へつなぐことによって商品開発や調達を行うバリューチェーンの構築を進めていく」(勝俣社長)考えだ。
また、直接の販路を確保することで、海外ブランドの国内販売ライセンスの獲得が有利になるなど、伊藤忠商事に水をあけられているブランド戦略で巻き返しを図れるとの計算も働く。 丸紅は、同じ食品スーパーのマルエツに28.7%、東武ストアにも30.2%出資しており、ダイエーを含めた3社の連携で、「プライベートブランドを双方で研究し、売れ筋のものを作り上げるような相乗効果が得られる」(勝俣社長)と期待を込める。
また、強みとする不動産事業でも、大規模マンションなどの物件にダイエーを出店することで、物件価値を高めたり、ショッピングセンターなどの商業施設開発のノウハウを獲得したりする利点があるという。 流通業界は依然として厳しい競争に立たされている中、商社主導でのダイエー再建は目が離せない。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 14:06| 流通