―ロジスティクス戦略の次なる課題―

『Interactive Logistics Management』
(相互向上のロジスティクスマネジメント)

    

ロジ・ヤマダ総合研究所
ロジ・ヤマダ

  
はじめに

一般的に、販売者と消費者の関係は、販売者は「売る」、消費者は「買う」という一方通行的な情報発信行為と情報受信行為が行われていました。
しかし、POSシステムをはじめとするITの普及で、販売者は「消費者の声で向上」し、消費者は「販売者の提案で向上」すると言うインタラクティブ(相互向上)な情報受発信行為が行われ、SC(Supply Chain 以下SC)、VC(Value Chain 以下VC)が強化されたようです。
   
SC、VC運営者とロジスティクス機能における物流供給者(物流サービス提供者)との関係も同様で、情報発信、情報受信の一方通行的な役割分担から物流供給者の情報発信力を強化することで、SC、VCをより競争力ある形に変化させる事ができると考えます。
ロジスティクス部門の次なる課題の一つとして、
 
「物流供給者の役割変化と高度化の必要性」
 
を以下のキーワードを用いて述べてみたいと思います。

 Interactive Logistics Management
(インタラクティブ・ロジスティクス・マネジメント)
(相互向上可能なロジスティクスマネジメント)

『ロジスティクス部門の情報発信力を他のSC、VCを構成する組織体と同様に強化し、全体最適としての計算結果に基づいたアクションを行い、相互向上を目指すマネジメント』

  

   

Interactive Logistics Management

    

1.ITがもたらしたもの

企業は、所有するSC、VCの競争優位性を創造、保持するための活動の一つとして、ITを導入し強化活動を行っています。それにより、従来では量的、時間的に収集及び処理が不可能であった情報計算が可能になり、マネジメントが高度化し、現在の競争優位性を創造、維持するための源泉の一つになっています。
  
また、各部門(例えば、製造部門、販売部門)毎に発生していた情報を一箇所に集約する事が可能になり、
  
 「部分最適マネジメントから全体最適マネジメント」へ
   
マネジメントセオリーが大きく変化しました。
全体最適という考え方はITがもたらした大きな変化の一つであると考えます。

  

2.受け身であった物流供給者

SC、VCを所有またはそれに属する企業及び企業群は、それぞれの組織体(製造部門、販売部門、財務部門、物流部門など)にネットワークをはり巡らせ、全体最適マネジメントが可能なインフラを整備してきました。
  
物流部門においては、様々な物流システムが開発され、運営されるようになりました。その中で、物流供給を外注している場合(例:物流会社に輸送サービスを依頼している。)、SC、VCを所有する企業と外注先物流供給者との関係について考えますと、企業内の物流部門が情報発信者となり、様々な運営方式を物流供給者に情報提供します。
  
しかし、企業競争激化の中、競争優位性を保持、強化するためには、更なる最適化活動を推進していく必要性が高まっています。こうしたニーズに物流供給者は、どのような役割を果たすべきなのでしょうか。

 

3.インタラクティブ・ロジスティクス・マネジメント

今後のロジスティクス戦略の課題として、物流供給者が担う役割は、
  
「SC、VCの各部門からの情報を的確に理解し、全体最適化の方向性を把握した上で、様々な物流活動を数値化し、SC、VCを強化するための情報発信力を高め、SC、VCの全体最適をより高度化すること」
  
が必要であると考えます。これが、ロジスティクス戦略の次なる課題の一つであると考えます。そしてその思考をインタラクティブ・ロジスティクス・マネジメントと呼び、以下のように定義します。
   
『ロジスティクス部門の情報発信力を他のSC、VCを構成する組織体と同様に強化し、全体最適としての計算結果に基づいたアクションを行い、相互向上を目指すマネジメント』
  
 では、具体的にどのような情報受信、情報発信行為が必要なのでしょうか。

   

4.物流供給者が必要な情報発信及び情報収集力

まず、SC、VCを構成する組織体を理解し、その仕組みを理解する必要があります。そして、全体最適管轄部門の目標に対して必要不可欠な情報提供を行う必要があります。
  
次に、物流活動から生じるSC、VCを高める活動を数値化し、物流部門における様々な阻害要因や、他部門との因果関係を情報発信し、コストの再配分や、SC、VCの改善業務に役立てます。
  

▼ SC、VCの組織体の理解と活動基準の理解

(1)

企業体のマクロ状況の理解:(業界、競争の源泉等)
(SC、VCの競争優位性や構成要素)

 

(2)

他部門の構造と活動理解
(製造業例:生産部門、販売部門、財務部門等)
(小売業例:調達部門、店舗販売部門、財務部門)

 

(3)

各部門ヘの問題提起と改善活動の理解

 

(4)

自己部門と他部門のリンケージ項目の把握と相互理解
(例:製造部門と財務部門や、物流部門とIT部門)

   
▼ 物流部門の情報発信項目例

(1)

必要とされる期間別リソース数の推移

 

(2)

必要とされる期間別コストの推移

 

(3)

定期的な活動阻害要因の仮説定義

 

(4)

活動阻害要因の数値的実証データ

 

(5)

定期的な改善項目の提案

 

(6)

改善項目の数値的効果データ

 

(7)

定期的な他部門貢献の評価と数値化

 

(8)

定期的な他部門負担の評価と数値化

 

(9)

全体最適評価部門の情報発信・理解

 

(10)

その他

  

5.まとめ

物流供給者は、
 
「タイムリーに最適なコスト、品質で物流供給を可能にする」
 
という既存使命に加えて、
  
「全体最適活動からの目標を達成するために、情報収集力、情報発信力を高め、最適なリソース配分と最適な運用を行う」
  
という新たな使命が必要であると考えます。
そこには、インタラクティブ(相互向上)な活動を行う事が非常に重要であり、物流部門における知的マネジメントやソリューションを創造していく活動こそが、ロジスティクス戦略のチャレンジ的課題であると思うのです。

  

     

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