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2021年10月19日

【アジア】IHI マレーシアで石炭火力発電へのアンモニア混焼技術適用検討など開始


IHIはマレーシア国営石油ガス会社以下ペトロナス子会社と,マレーシア大手電力会社Tenaga Nasional Berhad(以下 TNB)子会社TNB Gencoと連携し,CO2排出量削減を目指し,マレーシア国内の石炭火力発電所へのアンモニア混焼技術の適用検証および再生可能エネルギー由来のグリーンアンモニアや天然ガス由来のブルーアンモニア製造を含むサプライチェーン全体での技術・経済性評価を目的とする,実施可能性調査事業を開始した。調査は2022年2月まで実施される。

この事業は経済産業省の令和3年度「質の高いエネルギーインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業費補助金(我が国によるインフラの海外展開促進調査)」の採択により実施する。

アンモニアは水素を高密度に含み,扱いやすいという優位性から,水素エネルギーの高効率かつ低コストな輸送・貯蔵手段(エネルギー・キャリア)となるほか,火力発電の燃料として直接使用することもできる。既に肥料や化学製品の原料として広く利用されているため,製造・輸送・貯蔵までの一貫した技術がすでに確立している。炭素を含まず,燃焼時にCO2を排出しないことから,脱炭素化における有望な燃料と期待されている。

IHIはアンモニアを燃料として利用する燃焼技術開発を推進しており,2020年度までに窒素酸化物(NOx)の生成抑制と安定燃焼を両立する石炭火力用アンモニア混焼バーナを開発するなど,混焼技術の高度化に取り組んできた。これらを活かし国内商用石炭火力発電所において世界初となるアンモニア20%混焼実証の実施に向けた開発を進めるともに,実証後の社会実装を見据え,アンモニアサプライチェーン構築に向けた活動も推進している。

今回の事業はマレーシアに多数の石炭火力用ボイラを納入しており,アンモニア燃焼技術開発で世界をリードするIHIと,世界有数のエネルギー製造事業者で,30年以上にわたりアンモニア生産の経験があるペトロナス,マレーシア総電力供給の53%を担う大手電力会社であるTNBの三社の強みを活かすことで調査・検討に取り組む。

IHIは,同事業の他にも,中国電力と三井物産が経済産業省の令和3年度「質の高いエネルギーインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業費補助金(我が国によるインフラの海外展開促進調査)」の採択を受けて実施する,マレーシア国・超々臨界圧石炭火力発電所のアンモニア・バイオマス同時混焼プロジェクトの実現可能性と東南アジアへの展開可能性調査事業について,両社からの依頼にもとづき,技術的評価を行う予定になっている。

これら二つの調査事業を通じて,マレーシアにおけるアンモニアの多様な利用モデルを示すとともに,将来の需要増大へ対応する燃料アンモニアサプライチェーンの構築を進める。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:30| アジア