<< 前のエントリ合通ロジのトップページへ次のエントリ >>
2021年05月26日

【環 境】三井化学 バイオマスナフサによるバイオマスプラスチック製造を開始


三井化学は2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、バイオマス燃料の製造会社であるNeste社及び豊田通商と2021年5月にバイオマスナフサの調達に関する売買契約を締結した。21年度3Qから4Qにかけて大阪工場のエチレンプラント(クラッカー)に日本で初めてバイオマスナフサを原料として投入する。同時にマスバランス方式によるバイオマスナフサを原料としたフェノールなどのバイオマス化学品やポリオレフィンをはじめとしたバイオマスプラスチックの製造・マーケティングを開始する。

Neste社はRenewable Diesel(発展型再生可能ディーゼル)では世界トップのシェアを誇るバイオマス燃料のサプライヤーで、同社のバイオマスナフサは植物油廃棄物や残渣油を原料に製造される。今回、バイオマスナフサを使用することで、原料からプラスチック製品が廃棄されるまでのライフサイクルにおけるCO2は、石油由来ナフサ使用時に比べて大幅に削減されることが見込まれる。

三井化学はバイオマスナフサをエチレンプラント(クラッカー)に投入し、エチレン、プロピレン、C4留分、ベンゼンといったバイオマス基礎原料を生産する。それらバイオマス基礎原料をもとに、フェノールなどの基礎化学品、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン類を製造するため、バイオマス誘導品(バイオマス化学品やバイオマスポリマー)の品質は既存品と同等になる。

三井化学と豊田通商はバイオマスの認証制度として欧州で広く採用されているISCC認証(International Sustainability and Carbon Certification)を取得する予定で、ISCC認証はEUのバイオマス燃料等の認証として既に広く認知されており、複雑な生産工程を持つサプライチェーンのバイオマス化を推進させるマスバランス方式(物質収支方式)の有効な認証制度になる。既に紙、パーム油など多様な業界で適用されているマスバランス方式に基づき、バイオマス原料の割合を認証済みの手法で最終製品に割り当てることで、顧客は自身の意思でもって使用原料のバイオマス化を選択することができる。同方式は複雑な原料体系と誘導品、複雑なサプライチェーンを持つ化学業界がカーボンニュートラルを実現するために必須のアプローチであるため、マスバランス方式及びISCC認証は今後化学業界でも広がっていく見通しである。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:25| 企業の取り組み【機関】