<< 前のエントリ合通ロジのトップページへ次のエントリ >>
2021年03月09日

【知 識】横浜国大と横浜市大 新生児向けウェアラブルデバイスを実証 


横浜国立大学工学研究院・太田裕貴准教授、稲森剛大学院生と、横浜市立大学医学部小児科学・伊藤秀一主任教授、魚住梓助教らの研究グループは、新生児医療に向けた経皮ビリルビン値・SpO2・脈拍同時計測ウェアラブルデバイスを実証した。シリコーンゴムを主材とした材料を新生児とデバイスのインターフェースに用いることで高密着性が実現され、微細加工を用いて光学設計を最適化することで経皮ビリルビン値・SpO2・脈拍の三つのバイタルを額から経時計測できるスマートデバイスを実証した。さらに光療法中の経皮ビリルビン値の経時計測も可能であることも臨床試験で確認した。その他のバイタルサインも同時に検出できるようなデバイスに発展させることで新生児医療の高度・高効率化及び在宅医療へのハードウェア技術としての展開が期待できる。

新生児は出産とともに母体に依存した胎内環境から、自らの力で生存する必要がある胎外環境への適応を迫られる。その変化は極めて大きく、様々な事象により、その生命は容易に脅かされる。また自ら症状を訴えることができないため、対応が遅れることも珍しくない。そのような新生児における重要なパラメータの一部が脈拍、SpO2、経皮ビリルビン値で、その計測方法は医療従事者の負担を考慮し、経時的に生体情報を計測するための様々な機器が開発されてきた。また在宅医療への関心も高く一層手軽な生体情報の計測方法が求められている。

ウェアラブル端末を用いたアプローチは非侵襲的で望ましいが、新生児の皮膚は非常にデリケートであるため、時間装着可能な、次世代のインターフェースの開発がかかせない。現在、脈拍、SpO2計測に関しては有線による計測を行うことができる。また経皮ビリルビン値に関しては光学式ハンディデバイスでの計測が用いられている。それぞれが単独での計測であり、医療従事者の利用の観点から考えると新生児に対してアクセスしやすくかつ無線で経時計測が可能なデバイスが必要とされる。将来的に小型、ウェアラブルで個人で購入可能な経皮ビリルビン値計測デバイスが実現されれば、新生児の入院日数を短くし、医師・看護師の負担が軽減され、さらには在宅医療における両親の安心や子の安全に繋げることができる。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:35| 知識