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2021年01月08日

【アジア】住友林業 インドネシア・カリマンタン島で植林事業拡充


住友林業はPT.Bina Silva Nusaが所有するインドネシア西カリマンタン州の産業植林資産と事業権を取得し、大規模産業植林事業を拡大する。乾季でも地下水位を安定的に管理する世界的にも類を見ない管理モデルを確立し、木材生産と環境保全の両立を目指す。住友林業グループのインドネシア西カリマンタン州での管理面積は約155千haに拡大され、山手線内側の約25倍相当の面積になる。また同国で植林事業を営む企業を連結子会社化し、持続可能な森林経営体制を強化する。

住友林業グループは2010年からインドネシアの山林経営・合板製造会社のアラス・クスマグループと共同で、同国環境林業省から「産業植林木材林産物利用事業許可(※)」の発行を受け、大規模な植林事業を行ってきた。

この植林地は1960年代から1990年代前半まで商業伐採される一方、違法な森林伐採や焼き畑が繰り返されたため森林の荒廃化が進んでしまった土地で泥炭地を含んでいる。泥炭地は貴重な生態系を有し、地球規模の炭素蓄積、水循環に大きな役割を果たしていると考えられている。

泥炭地の持続的な森林管理は、世界的にも例を見ない規模で行った綿密な地形測量と泥炭の分布・深さの調査に基づいて実施している。従来の泥炭の水位管理は土壌に含む水分を高いところから低いところへ流す排水型で、泥炭が乾燥することで泥炭火災の発生や泥炭の分解が促進され、地球温暖化の原因となるCO2の排出や煙害などの原因となっている。一方、住友林業グループが取り組む水位管理は貯水型で、膨大な調査データに基づいて貯水林の設置、水位管理ゾーンを設定し水位管理インフラを開発することにより、乾季でも地下水位を安定的に管理する世界的にも類を見ない泥炭地管理モデルを確立した。植林区、緩衝地区、保護区とゾーニングすることで、経済的活動としての木材生産をしながら、貴重な泥炭地とその生態系を維持している。温室効果ガスの排出や森林火災を抑制、ひいては気候変動対策に大きく寄与できる。現在では人工衛星やドローン等の先端技術を活用した泥炭地管理モデルの継続的な改善に取り組んでいる。

これらの取り組みはインドネシア政府と行なわれており、同国の要請に基づき気候変動枠組み条約締約国会議(COP23、COP24、COP25)で成果を発表したところ、国際機関や泥炭を多く抱える開発途上国等から高い評価を得た。今後は泥炭保有国にコンサルティングの事業化を目指し、この事業で培ったノウハウを展開・普及させる。

※ 産業植林木材林産物利用事業許可
インドネシア政府から発行される、同国において産業植林を行うための事業許可。60〜100年間の植林事業が可能

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:30| アジア