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2020年05月11日

【流 通】富士通 AI活用した船舶の衝突リスク予測技術の実証実験を実施


富士通は船舶同士のニアミスを予測するAIを活用した船舶の衝突リスク予測技術の実証実験を2019年12月6日から2020年3月23日までの期間、国内の海上交通管制で初めて実施し、衝突リスクの早期発見への有効性を確認した。

今回実施した実証実験は、海上保安庁からの請負契約により、海上交通管制業務を行う東京湾海上交通センター(※1)で実施された。富士通研究所が開発したAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」を用いた船舶の衝突リスク予測技術を活用し、東京湾において船舶衝突リスクの検知と衝突リスクの集中するエリアを予測することが可能であるかについて検証を行った。同技術を海上交通管制業務で使用されるVTS(※2)システムへ適用することで、予防的なリスク回避に貢献し、海上交通の安全性向上につながることが確認できた。

船舶衝突事故は日本だけでも2,863件で、年間平均286件発生している(2009年〜19年 運輸安全委員会(※3)発表)。大型船舶の衝突事故が発生した場合、船員の人命や船舶の破損、海洋汚染など多大な影響を社会に及ぼす。海上保安庁は交通量の多い航路等において、レーダーおよび船舶自動識別装置(Automatic Identification System)を組み合わせたVTSシステムを運用し、海上交通センターなどで航行支援を行うことで、海上交通の安全を図っている。しかし、多数の船舶の動きを認知・予測し、危険性を判断することは容易ではなく、危険回避の情報提供を、どの船舶に対し、どのタイミングで行うかといった判断は、運用管制官の経験や技量に依存しているといった課題が存在する。

こうした課題を解決するため、海上保安庁主導のもと、「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」を東京湾における海上交通管制業務に適用し、衝突リスクの早期発見や船舶への情報提供等のタイミングの適正化など、海上交通の安全性向上への効果を検証する実証実験を行った。


※1 湾海上交通センター
船舶の安全運行に必要な情報の提供と航行管制を一元的に行うことにより、輻輳海域における海上交通の安 全を図っている

※2 VTS(Vessel Traffic Services)
航行の安全性と効率性の向上を目的に、レーダーや船舶自動識別装置(AIS) などから取得される様々な船舶情報を集約し、船舶に対し必要な情報を提供するために用いられる

※3 運輸安全委員会
国土交通省の外局の一つ。航空事故・鉄道事故・船舶事故または重大インシデントの原因究明調査を行 うとともに、調査結果に基づいて国土交通大臣または原因関係者に対し必要な施策・措置の実施を求め、事故 の防止および被害の軽減を図っている

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通