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2020年03月23日

【流 通】鉄の不動態被膜形成初期過程を従来の1000倍高速の放射光計測で観察


東北大学大学院理学研究科 若林裕助教授(東京工業大学特定教授)の研究グループは、これまで明らかにされていなかった鉄の不動態被膜形成初期過程を、高速X線反射率測定(※)によって解明した。X線反射率法は表面分析に広く用いられるが、数分から数十分の時間がかかる。これを情報科学も活用することで20ミリ秒まで高速化し、被膜形成過程の実時間観測を実現した。

観測された酸化の初期過程は、最初に欠陥の多い厚い膜を形成し、次に膜内部の原子配列を整える順番で起こっていた。膜成長の速度を決める因子が最初の1秒と後の時間で異なることも判明した。この知見は固液界面での典型的な化学反応の理解を、従来とは異なる角度で深め、今後、物理的な理解が難しい固液界面の化学反応に関する研究に新しい情報が加わる事が期待される。

※ 高速X線反射率測定
通常のX線反射率測定では装置が機械的に動く必要があるため、どれほど強いX線を用いても数分以上の時間が必要であった。表面の実時間観測のために機械的な動作なしに反射率を測定できる手法が何種類か提案されており、これらの手法では用いるX線の強度を増やす事で高速測定が可能になる。今回はさらに弱い信号からも情報を取り出せるように解析法にベイズ推定を用いた

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投稿者:gotsuat 09:40| 流通