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2020年03月17日

【流 通】日鉄物流 内航船員育成を目的とした実務型練習船建造


日鉄物流は内航船員育成を目的とした509総トン型(※1)の実務型練習船(鋼材貨物船)を2020年3月末に竣工する。

国内の内航船員数は減少傾向にあり、かつ50歳以上の船員が5割を超える高齢化が進展しており、将来の内航海運の担い手不足が懸念されている。その対策の一つとして同社は2018年度より内航船員の育成・確保を目的として、海技免状未保有者を雇用しようとする船主を対象に「若年船員育成支援制度」を導入した。海技免状を取得して船員になるには最短でも海技学院にて4.5ヶ月の養成講座を受講し、6ヶ月間の乗船勤務を経験する必要があるが、海技学院の受講料などの一部費用を同社が負担する。

この制度の利用が着実に拡大する一方で、一杯船主(※2)を含めた中小零細船主が多い内航海運業界では定員数以上の船室を設置していない船舶が多く、かつ当該船室を設置するための改造を進めることもむつかしい。また指導する船員の経験・ノウハウや負担の観点から、意欲があっても、新たな船員の採用・育成が困難なことも大きな課題とされている。そこで、新たな船員の実務環境を整備し育成ができるよう、指導員1名と練習生最大5名が乗船できる居住区を確保した実務型練習船を建造することとなった。

今回建造する実務型練習船は、他社が雇用する船員も対象に、船長経験のあるベテラン船員が専属指導員として乗船し、練習生の業務面の指導に加え、生活面もフォローできる指導体制をとる。

また、499総トン型をベースに居住区を拡大した509総トン型船舶とし、船室は通常より5室多い12室を確保した。また教育の場とすることを意識した広いブリッジスペース、座学用の教室兼ミーティングルームとして使用し得る広めの食堂など、船員養成のためのスペースの充実を図った。防音設備(天井・側壁)と発電機防振ゴムの設置、遮熱塗料(天井)の塗布に加え、各室にセパレートエアコン、浴室1室とシャワー室2室、トイレを1フロア毎(3フロア)に設置し、Wi−Fi設備も完備するなど、船員の快適な居住空間を確保している。船内で機関の状態を監視するシステムも、特別に船陸間通信機能を追加した。この機能により陸上からの遠隔監視が可能となり機関部の業務を支援し、船舶の安全・安定航海と船員育成のバックアップできる。

※1 総トン
船体及び船室などによって囲われている空間の容積であり、509総トン型船の容積は約5,484立方メートル

※2 一杯船主
所有船舶が一隻で、家族船員とともに自身も乗り組む船主

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通