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2020年03月13日

【知 識】A&Dとタニタ 健康計測機器分野で業務提携


A&Dとタニタは健康計測機器分野で業務提携した。A&Dの強みである血圧計を主体とした医療領域の技術・商品と、タニタの強みである未病・予防領域の技術・商品を相互に活用することで付加価値の高い新商品・新サービスを創出し、両社のヘルスケア事業の拡大を図る。具体的にはA&Dの業務用血圧計をタニタに、タニタの業務用自動身長計付体組成計をA&DにOEM(相手先ブランドによる生産)供給する。特にタニタが保有する体組成計測の中核技術である「タニタアルゴリズム(※)」をA&Dに提供し、対象となる両社の機器の相互連携を実現する。これにより新商品の開発スピードを加速させるとともに、両社が強みを持つ領域での品ぞろえの拡大を図る。こうした連携はヘルスケア業界で初の試みとなるだけでなく、体組成計測技術の標準化に向けた第一歩として市場へ大きなインパクトを与えるとしている。

ヘルスケア業界では将来の市場拡大を狙い様々な業種が参入し構造改革が進んでいる。今回の業務提携は、こうした構造変革を先取りし市場での競争力を高めるのが狙いで、その一つとして、A&Dは2020年夏発売予定で「タニタアルゴリズム」を搭載した家庭用体組成計「UC−421BLE」を商品化を進めている。これまで体組成計はメーカーごとに独自のアルゴリズムを搭載していることから、「体脂肪率」や「筋肉量」などの計測数値がメーカーごとに異なっていた。

こうしたメーカー主導の考え方はユーザーの利便性を低下させるだけでなく、医療・健康データを一元管理するデータヘルスを推進する上でも障害となるため、共通のアルゴリズムを搭載した体組成計を両社で販売していくことでこれらの課題を解決する。それとともに両社は体組成計測における日本発の技術標準を確立し、国際競争力を高められると考えている。このほかにも相互OEM供給商品として、A&Dの自動身長計付き体組成計を同年3月に、タニタの業務用血圧計を同年7月に発売し、両社の商品ラインナップを拡充していく。

「人生100年時代」といわれる今日、生活者の健康意識の高まりを背景にヘルスケア市場が拡大している。経済産業省はヘルスケア産業の市場規模が2016年の約25兆円から、2025年には約33兆円にまで成長すると予測している。これに伴い、ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)をはじめさまざまな分野から新規のプレーヤーが参入するなど、競争が激化。産業構造自体も大きなパラダイムシフトを起こしている。

また日本は2025年に団塊の世代すべてが75歳以上の後期高齢者となるなど、世界に先駆けて超高齢社会を迎える。日本が直面している健康寿命の延伸や社会保障費の抑制といった社会課題の解決に寄与する健康ソリューションは、海外市場へのアプローチにおいて強力なカードになるとし、両社は今回の業務提携によりそれぞれの強みを生かした付加価値の高い商品・サービスを展開することで、競争優位性を高めていく。

※タニタアルゴリズム

現在普及している家庭用体組成計の多くは生体インピーダンス(BIA)法という計測技術を用いている。BIA法は、からだに微弱な電流を流し、その電気抵抗値と体重、身長、性別、年齢などから統計学的な回帰分析を行い、体脂肪率や筋肉量などの体組成を推定する。この回帰分析を行う計算式がアルゴリズムで、体組成計の計測精度を司る中核技術といえ、メーカーごとに独自に開発している。「タニタアルゴリズム」はタニタが1992年に世界初の乗るだけで計測できる体脂肪計を発売して以来、国内外合わせて1万5000件以上の生体データを収集して開発された。体組成計測のゴールドスタンダードと高い相関を実現している。医療現場でも活用されており、累計で200件を超える学会発表論文でも採用されている

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:35| 知識