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2020年02月25日

【知 識】長瀬産業と大阪大学 「DDS製剤共同開発研究講座」を開設・共同研究開始


長瀬産業と大阪大学は薬の有効成分が患部に届く前に体内で分解されたり、患部以外に作用したりする等の課題を解決する薬物送達システム(Drug Delivery System、以下「DDS」)製剤の一つである「リポソーム製剤」「脂質ナノ粒子製剤」の開発・製造に関する「DDS製剤共同開発研究講座」を開設し、共同研究を開始した。

リポソーム製剤、脂質ナノ粒子製剤はDDS製剤の一つで、いずれも医薬品の有効成分を脂質粒子で包むことにより体内での医薬品の働きを制御する機能がある。DDS製剤は、これまで有効な医薬品が存在しなかった難治性疾患の治療手段として注目を浴びる一方、製造工程が長く製造原価が高いこと、一回あたりの製造の収量を上げること(スケールアップ)の難しさが実用化の課題となっている。

大阪大学医学部循環器内科の松崎高志特任准教授はリポソーム製剤、脂質ナノ粒子製剤の製造過程に極細の管(マイクロ流路)を用い、温度や流速を一定に保つことでより均質的にDDS製剤を製造する技術を開発した。この技術を応用することで製造工程を短縮でき、課題であるスケールアップも容易になる。大阪大学は医薬品医療機器総合機構(PMDA)とリポソーム製剤の規格および品質について合意しており、同技術を用いて複数の治験薬をすでに製造している。

長瀬産業は共同講座の開設にあたりグループ会社のナガセ医薬品に製造設備を導入し、この技術を、現在の医薬品の主流である低分子医薬品のみならず、次世代の医療を支えると期待される核酸医薬品(※1)や遺伝子治療薬(※2)に応用し、製剤設計から治験薬製造、商用生産までの一貫した開発・製造受託事業を強化する。

※1 核酸医薬品
生物の遺伝情報を司るDNAやRNAの構成成分であるヌクレオチドおよびその誘導体を主成分とする医薬品の総称

※2 遺伝子治療薬
DNA中の遺伝情報を伝える領域である遺伝子を主成分とする医薬品の総称

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 知識