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2020年02月05日

【知 識】3次元解析を用い抗がん剤の薬効評価手法の確立を目指す産学連携研究開始


オリンパスと福島県立医科大学は3次元解析を用いた抗がん剤の薬効評価手法の確立を目指し、2020年1月から共同研究の第2フェーズを開始した。共同研究ではオリンパスの持つイメージング技術、3次元細胞解析技術を駆使し、福島県立医科大学が所有する、さまざまな遺伝子変異を持った肺がん患者由来のオルガノイド(※1)に対して、画像を用いた抗がん剤のメカニズム解析や薬効評価を行う。

両者はがん患者の遺伝子変異に基づいた最適な抗がん剤の開発および治療方針の選定法の確立を目指して、2018年10月より共同研究を開始した。その結果、肺がんオルガノイド内において、免疫細胞が分子標的薬(※2)を介して、がん細胞を攻撃する現象を定量評価することに成功し、2019年6月に論文(※3)発表を行っている。

共同研究の第2フェーズでは、これまでの共同研究で確立した3次元細胞解析ソフトウェア「NoviSight(※4)」による定量化手法を用いて、抗がん剤がさまざまな遺伝子変異を持つ肺がん患者由来のオルガノイドに及ぼす影響を評価する。これにより、がん遺伝子と投与した抗がん剤の関係性が明らかになり、抗がん剤の有効性を評価する手法の確立につながります。将来的には、患者ごとの治療方針の決定や、創薬スクリーニングへの応用が期待できる。

※1 オルガノイド
複数の細胞が凝縮して塊状になっている、試験管内で作られた組織様構造体

※2 分子標的薬
がん細胞に特異的に発現する分子や遺伝子をターゲットとして、がん細胞の分裂や増殖を抑制する抗がん剤の一種

※3 著 福島県立医科大学 高橋信彦先生

※4 NoviSight
2018年9月より米国のみで販売。薬剤による細胞の生存比率の変化や形態への影響などの情報を定量的に評価可能

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 知識