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2020年02月03日

【知 識】山梨県で山間部のネットワーク化を通じた労災抑止と獣害対策の共同実証


山梨県小菅村、北都留森林組合、boonboon、さとゆめとNTT東日本の5者は、豊富な森林資源を有する小菅村山間部にIoTを実装し、林業に関する課題解決及びSmart Villageの実現に向けた実証実験を2020年2月より開始する。

林業の共通課題である「林業従事者の労働災害抑止」、「シカ等の獣害対策」に対し、山間部を効率的にカバレッジできる高出力の独自LPWA(※1)を用い、従事者が緊急時の救助要請が可能にする仕組みや害獣捕獲時の通知機能を提供することで、より安全で生産性の高い林業経営の実現をめざす。

現在、日本の林業は戦後の積極的な造林により人工林の半数以上が伐採適齢期を迎え、国産材利用の増加等を背景に木材自給率は上昇傾向(※2)にある。その一方で、林業従事者数は30年間で約1/3まで減少(※3)している。

加えて、伐木作業中の倒木事故など林業従事者の労働災害が多く、死傷率は全産業平均の約10倍(※4)と最も高いため、早期の対応が急務とされている。また、持続可能な森づくりや災害対策の観点から、伐採後の植林や育林の必要性が高まっている一方、シカ等による新苗等への食害が深刻になっている。

こうした課題はIoTの活用により抑止や効率化が期待されるが、定住地域から離れた山間部では、IoTを活用するための通信環境そのものが整っていないことが多い。

こうした中、林業界が抱える課題の解決に向けて、村を挙げての地方創生に取り組む小菅村、当該エリアの森林整備や販売を担い林業の成長産業化に積極的に取り組む北都留森林組合、地方創生に取り組む中で誕生した鳥獣害対策ベンチャーboonboon、古民家ホテルの開業等村の地方創生総合戦略に携わってきたさとゆめ、これまで全国各地でICTの観点から地域との協働事例を創出してきたNTT東日本は、5社協働でIoT技術を用いた実証実験を開始し、林業の成長産業化を通じたSmart villageの形成をめざす。


※1 LPWA (Low Power Wide Area)
小電力で長距離通信できる無線通信技術の総称

※2 2018年実績 36.6%。2011年から8年連続上昇(林野庁「平成30年木材需給表の公表について」参照)

※3 2015年時点で4万5千人。1985年時点は12万6千人(林野庁ホームページ「林業労働力の動向」参照)

※4 林野庁ホームページ「林業労働災害の現況」参照

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 知識