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2019年11月08日

【物 流】「AI活用による不在配送問題の解消」に向け産学共同で研究開発実施


佐川急便、日本データサイエンス研究所(以下「JDSC」)、東京大学大学院の越塚登研究室・田中謙司研究室は「AIと電力データを用いた不在配送問題の解消」に関して3者共同研究開発をすることに合意した。

日本では不在配送が問題視されており、個人向け配送における「不在配送件数」は全宅配件数の約2割、走行距離の25%は再配達のために費やされている。これは年間9万人の労働力に相当し、年間1.8億時間が不在配達に費やされていることになる。この不在配送問題を解決するため、3者共同研究開発は「AIによる不在配送問題の解消」を目的とした。

3者共同研究開発の経緯はJDSCの保有するAIを用いた電力データ解析・活用技術を、東大越塚研究室・田中研究室と連携し、スマートメータから得た電力データを元にAIが配送ルートを示すシステムを開発した。その結果2018年9〜10月に東京大学内で行った配送試験では、不在配送を9割減少した。

2019年9月にはこのシステムを用いて、佐川急便の持つ配送実績データを基にシミュレーションを行った。その結果、不在配送の削減、総配送時間の短縮など一定の効果が確認できたため3者共同研究開発を行うこととなった。

2018年に東京大学内で行った配送試験では、予めキャンパス内の各建物に、別途収集した住宅の電力使用データと在不在情報を模擬的に割り振った上で、電力使用データのみから最適ルートを提示するシステムの性能評価を行い、このシステムの使用・不使用の場合で2輪車による配送を繰り返した。この結果、システム利用時の配達成功率は98%、不在配送は91%減、総移動距離も5%減少した。

ドライバー不足と労働生産性の向上は産業界全体の課題であり、この不在配送が上記の実証実験と同等の結果を示した場合は大きな効果が期待できる。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:45| IT関連