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2019年07月18日

【流 通】東急建設 「グリーンインフラ」実証施設で雨水貯留・流出抑制効果などを確認


東急建設は2018年3月に同社技術研究所内に設置したグリーンインフラ(※)実証施設で約1年間のデータ計測を行い、自然環境が有する多様な機能と、雨水を活用したビオトープ(水辺の生息空間)でのホタルの生息を確認した。

グリーンインフラ実証施設では雨水の貯留量と施設で消費する水収支や生物生息空間としての基礎実験データ等を収集し、グリーンインフラ施設としての効果を検証している。実証の目的の一つである「都市型集中豪雨対策」では、集中豪雨時にグリーンインフラ施設が雨水を浸透促進させるとともに、雨水を貯留して流出抑制する効果を確認した。

また、もうひとつの目的「環境保全技術開発」では、貯留した雨水を有効活用した水辺の生息空間(ビオトープ)を創出し、雨水を自然に還す雨水の浸透促進と暑熱緩和対策としての有効性を確認した。四季を通じて様々な昆虫類や鳥類等が生息・育成できる場になっており、周辺の緑地との中継地としてエコロジカルネットワークの形成等、生物多様性の保全にも役立っている。

また、ビオトープに2019年3月から5月にかけてヘイケボタルの幼虫を約80匹放流した結果、2019年6月から成虫が確認された。約1か月間ヘイケボタルの飛翔が確認され、ホタル生息環境の創出にも成功した。水質、温度、照度、風速など育成環境の計測・調査により、ヘイケボタル生育のノウハウを蓄積している。

グリーンインフラ施設は、地域住民との協働や民間企業との連携により多様な主体が維持管理活動に関与できることから、グリーンインフラを起点とした新たなコミュニティが形成されることが期待されている。

東急建設は収集したデータをもとに、さらなる活用が期待されているグリーンインフラの要素技術の高度化と段階的な改良を進め、今後、都市部におけるグリーンインフラ施設の設置提案や(仮)上郷開発計画などの環境保全への活用を進めていく予定にしている。

※グリーンインフラ
自然環境が有する多様な機能(雨水浸透・貯留による防災・減災、植物の蒸発散機能を通じた気温上昇の抑制、生物の生息・生育の場の提供、良好な景観形成等)を活用し、持続可能で魅力ある国土づくりや地域づくりを進める取組み。国内では、国土交通省の国土形成計画(2015年8月)や社会資本整備重点計画(2015年9月)等にグリーンインフラの内容が盛り込まれてきた。また2018年12月に「グリーンインフラ懇談会」が開催され、2019年7月4日には「グリーンインフラ推進戦略」が公表されている。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通