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2018年09月05日

【流 通】富山大学 コバルト使用量を大幅に削減できるカプセル型FT合成触媒開発

富山大学 大学院理工学研究部の椿 範立 教授らは、Fischer−Tropsch(FT)合成(※)の定説をひっくり返し、コバルトの使用量を大幅に削減できるカプセル型FT合成触媒を開発した。

FT合成は合成ガス(一酸化炭素と水素の混合ガス)から軽油など石油代替燃料および化学品を合成する触媒反応で、合成ガスは天然ガス(シェールガス、メタンハイドレートを含む)、バイオマス、石炭、可燃性ゴミから簡単に製造できるため、FT合成反応は産業上インパクトの大きな触媒反応の1つとされている。しかしながら、1日当たり3万バーレルの合成燃料を製造できる反応塔一基あたりコバルト触媒使用量が500トンにもおよび、触媒は1〜2年で交換する必要があるため、軽油などを生産する巨大FT合成プラントでは、電気自動車の登場に伴う価格高騰中のコバルトの使用量の大幅な削減が求められている。

既存のFT触媒において、「径が20〜30nm程度の大きな」コバルトナノ粒子から軽油などが合成されるため、コバルトの消費量が増大し、FT合成触媒、FT合成プラントのコストが高騰しています。椿教授らの研究グループは、従来のFT合成触媒の基本定説を覆し、シリカ層に覆われたコバルト系カプセル触媒において、「大きな粒子の1/10程度の小さな」コバルトナノ粒子で軽油などを合成できることを新たに見いだした。

従来の担持型FT商業触媒ではコバルト含有量が重量比で30〜40%だが、今回の発見により5〜10%以下まで削減することができる。新規FT合成触媒として商業プラントに投入し、さらに、FT合成と類似している二酸化炭素(CO2)と水素からの液体燃料の合成への応用を目指す。

※ Fischer−Tropsch(FT)合成
合成ガス(一酸化炭素と水素の混合ガス)から軽油など石油代替燃料およびアルコール、オレフィンなど基礎化学品を合成する触媒反応
合成ガスは天然ガス(シェールガス、メタンハイドレートを含む)、バイオマス、石炭、可燃性ゴミ、重質油から簡単に製造できる。各石油
は主に天然ガスや石炭から合成され軽油を製造している。石油価格が高騰しているとき、FT合成の経済性は良くなる

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通