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2018年08月01日

【流 通】NEC 道路・ビル等の老朽化検査が可能な衛星レーダを活用した解析技術開発


NEC、都市部における複数の道路・ビル等の老朽化検査を可能にする衛星レーダを活用した「2次元微小変位解析技術」を開発

NECは都市部において老朽化する道路・ビル等のインフラ構造物の健全性を診断するための検査手法として、2つの衛星レーダによる変位解析を統合し、水平垂直両方向の2次元変位を高精度に解析する「2次元微小変位計測技術」を開発した。同技術はインフラ構造物ごとの個別検査を可能とし、コストのかかる詳細検査導入の判断に活用でき、インフラ構造物における予防保全の効率化に貢献する。

現在、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)で行われている衛星レーダ(合成開口レーダ:SAR、※1)による微小変位解析技術(※2)が有望とされ、実用化が進められています。しかし、構造物に当てたレーダの反射点が、ビルなどの密集した場所ではどのインフラ構造物のものか判別しづらく、ニーズの高い都市部での適用が困難という課題があった。

今回開発した「2次元微小変位解析技術」は、NEC独自の反射点クラスタリング技術(※3)により、この反射点とインフラ構造物の判別を可能とし、個別に高精度な変位解析を可能にした。さらにNECは、同技術による解析を都市部埋立地の地盤沈下計測へも適用し、高精度に解析できることを確認した。手動測量による水準点(※4)の地盤沈下結果をもとに評価し、平地域(郊外)、都市部ともに誤差を40%低減した。

※1 合成開口レーダ(SAR:Synthetic Aperture Radar)
地球を周回移動する衛星の動きを用いて、レーダアンテナの大きさ(開口?)を実質的に巨大化することにより、
高解像度なレーダ画像を得る技術。ただしレーダでは距離のみを計測するため、得られるレーダ画
像は光学カメラによる画像と比較すると歪んでいるように見える。

※2 SARによる微小変位解析技術
定期周回するレーダで地上をレーダ観測した際に得られる、地盤や道路などの構造物にある反射点(散乱点とも
いう)からなるレーダ画像を利用した変位解析技術。定期的に観測した数十枚のレーダ画像における安定な反射
点を単一構造物に由来すると見なし、時系列解析することにより、地盤や道路について一年あたりミリ程度の微
小な変位を計測することが可能。1つの衛星による変位解析技術は、内閣府戦略的イノベーション創造プログラ
ム(SIP)「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」開発技術チームにおいて「高精度かつ高効率で人工構
造物の経年変位をモニタリングする技術の研究開発」として研究開発され、実用化が進んでいる。

※3 反射点クラスタリング技術
レーダの反射点を反射点の性質によって分類しまとめる技術。例えば、反射点が存在する場所の種類、例えば土
地利用状況などを推定するために用いる。

※4 水準点
国土地理院、地方公共団体が設置・管理する、標高観測点

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通