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2018年07月06日

【流 通】統合失調症の労働状態を確率的に推定する方法を開発 患者の社会復帰促進


大阪大学大学院連合小児発達学研究科の橋本亮太准教授、福島大学人間発達文化学類の住吉チカ教授らは、(1)病前からの認知機能低下の推定値が労働時間と関連することを見出し、また(2)病前からの認知機能低下の推定値を含む関連要因により、週当たり一定時間以上働ける確率を推定する方法を開発した。

この研究で示す確率モデルに基づいて、その将来的な労働環境の適正化に役立つ情報を提供することができるため、統合失調症患者の社会復帰可能性について、患者やその家族へ適切にフィードバックされ、よりよい精神科医療の実現に貢献すると考えられる。

統合失調症は約100人に1人が発症する精神障害で、幻覚・妄想などの陽性症状、意欲低下・感情鈍麻などの陰性症状、認知機能障害が中核的な症状であり、多くは慢性化・再発の経過をたどる。さらに多くの患者において、発症後、認知機能の低下が見られ、それが患者の自立した生活や社会への復帰、特に労働状態の回復を困難にしている。

橋本准教授らのグループは、患者ごとの個別の認知機能低下を測定する方法がなかったため、病前の認知機能の推定値と現在の認知機能指標を用いて、個人ごとの病前からの認知機能の低下を推定する方法を見出し、更に臨床現場で使えるような簡便な現在の認知機能の推定法を開発した。これらを用いた患者ごとの個別化医療に貢献する認知機能障害の推定法の普及を、全国で講習を行って進めており、この内容は日本神経精神薬理学会が作成した「統合失調症薬物治療ガイドー当事者・家族・支援者のためにー」にも、取り上げられている。しかし今まで、病前からの認知機能低下の推定値を因子として組み込んだ労働状態の推定は行われていなかった。また、実際に推定を行い、その結果を統合失調症患者やその家族にフィードバックする方法も提示されていなかった。

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投稿者:gotsuat 09:40| 流通