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2018年04月17日

【流 通】三井不動産とパナソニック 業務用清掃ロボットを共同で開発


三井不動産とパナソニックは、ビル管理における効率化を目指し、新しい業務用清掃ロボットを共同で開発した。このロボットの導入により、トータルコストをこれまでと同レベルに抑えながらも、ビル管理業務における効率化および清掃にかかる人的コストを大幅に低減することが可能となる。三井不動産はこの新型業務用清掃ロボットを、2018年2月に竣工した東京ミッドタウン日比谷のオフィスフロア清掃業務に導入した。

現在、急速な少子高齢化と人手不足が進行しており、この問題はビル管理においても大きな課題となっている。三井不動産は、きめ細やかかつ質の高いサービスを実現するため、三井不動産ビルマネジメントおよび三井不動産ファシリティーズを中核に据えた三位一体管理を推進しており、三社の制服統一や、執務室・休憩室の環境向上など、運営スタッフにおいても多くの「働きやすい」環境づくりを目指し改善を進めてきた。

そして今回、ビル管理の中でも人的負荷の大きい、清掃業務における改善に着手した。ビルのフロア清掃業務改善においては、これまでも業務用清掃ロボットを一部のビルで検証的に採用して検討を進めてきたが、清掃業務として品質・効率を満足させるまでには至らなかった。そこで、品質面・事業面で人的清掃業務を超える機能を持った業務用清掃ロボットの開発に取り組むこととなった。

ロボットの開発については、家庭用ロボット機器などで実績のあるパナソニックとともに取り組んだ。約2年にわたって三井不動産ファシリティーズの持つ清掃業務ノウハウと、パナソニックの家庭用清掃ロボット技術(RULOなどの開発で培った)を融合させるべく試行錯誤を行い、稼働中オフィスビルでのフィールドテストを繰り返し実施し、より実践的な環境での実用性向上を進めてきた。

今回のビル清掃におけるロボット導入は、コストのかかる完全な自動化ではなく、人間とロボットがそれぞれ得意とする作業を分担する形で協働し、効率的に清掃を進めていくことを目的としている。このために重視したポイントは以下の3点。

●ポイント1:安全・安心
清掃中の音声ガイドに加えて警告ライトでの周囲への注意喚起、センサーが障害物などを判断しての自動停止、接触時の自動停止や動作中の周辺状況を記録するドライブレコーダー、異常停止時には即座にスタッフの持つスマートフォン等に警報を発信するなど、多くの安全技術を装備し、「人間とロボットが共に、安全に清掃作業を進めていく」ことを目的に開発を行った。

●ポイント2:高精度センシング&コントロール機能による壁際床面自動清掃機能
今回の業務用清掃ロボット開発にあたっての最も重要な技術的ポイントは、壁際ぎりぎりまで自動で掃除できるきめ細やかなセンシングとコントロールによる走行制御。ロボットにとって毛足の向きなどが一定ではないカーペットの上を直進することは難しく、壁を傷つけないように接触せず、壁際ぎりぎりを清掃するのは、高度な走行制御技術を必要とするが、今回これを高いレベルで実現した。

●ポイント3:導入を現実的なものとするトータルコスト
コストアップを最低限とするために、高性能な部品を使うことなく、高い技術力によって清掃機能を実現したことで、既存の業務用清掃ロボットと比較して低コストでの導入を可能にした。また、コンパクトで運びやすくメンテナンス・操作が容易なロボット導入により共用廊下の清掃に関わる清掃作業員を約半分にできるため、トータルコストはこれまでと同レベルに抑えることが可能となり、現場への導入が現実的なものとなった。

三井不動産では、今後竣工するオフィスビルなどに順次この清掃ロボットを導入していく予定としている。また、ショッピングセンター「ダイバーシティ東京プラザ」にて清掃ロボットを2018年4月より導入し、商業施設においてもICT活用による施設管理業務の省人化を推進しており、更なる「働きやすい」環境づくりを目指し、ロボットやICTの活用を今後も進めていく。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通