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2018年03月29日

【流 通】多様な地震に対して耐震性能と制震効果を発揮する「クロスダンパー」を開発

大林組は、建物の耐震改修工事においてブレーキダンパー(※)とオイルダンパーを交差させて組み合わせることで、さまざまな大きさの地震に対して耐震性能の向上と制震効果が得られる「クロスダンパー」を開発した。従来の技術と比較して、非常に省スペースに設置することができることから、内部に展示施設があり設置スペースに制約のあった熊本城天守閣の耐震改修工事に採用された。

ブレーキダンパーは、中小地震時には高い剛性で耐震性能を向上させ、大地震時には揺れのエネルギーを吸収するダンパーとして有効に働く。オイルダンパーは中小地震から大地震までダンパーとして効果を発揮するもので、今回開発したクロスダンパーはこの2つのダンパーを交差して組み合わせた。

これまで、ブレーキダンパーとオイルダンパーを設置する際は、それぞれを柱と梁に囲まれた空間(構面)に設置していたため、二構面の設置スペースが必要であった。クロスダンパーは、一構面に設置できるため、設置場所の確保が難しかった建物でも高い耐震性能と制震効果が得られる。また、設置箇所数を削減できるため、耐震改修工事のコスト低減と工期短縮も実現する。

クロスダンパーは、大林組が施工中の熊本城天守閣復旧整備事業における耐震改修工事での採用が決まった。2016年の熊本地震で損傷を受けた天守閣の耐震改修工事では、地震時の揺れを効果的に低減することが求められており、展示施設を有する天守閣内の限られたスペースの中でも、高い耐震性能と制震効果が得られるクロスダンパーが高く評価された。

※ブレーキダンパー
強風や地震で建物が揺れたとき、走行中の車がブレーキをかけるようにステンレス板とブレーキ材の間で摩擦力が発生し、揺れのエネルギーを吸収する制振システム。超高層ビルの揺れ対策はもちろん、既存ビルの制振改修にも適用できる

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通