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2018年03月27日

【流 通】熊谷組 見えないビル風を立体的に可視化する技術を開発


熊谷組は、Virtual Reality(VR)を活用した風環境可視化技術を開発した。この技術は、流体解析とVR技術を組み合わせ、本来は目に見えない3次元の風の流れをVR空間で可視化するものである。従来の方法に比べ、ビル風の原因をより容易かつ正確に把握することが可能となり、設計品質や住環境性能の向上が期待できる。

建物が建設されることによって変化する風環境、いわゆるビル風による問題は、設計者や事業主、そこに住まう人々にとって身近な問題である。通常、ビル風における課題は、実測や風洞実験、流体解析の結果に基づいて評価・対策が行われる。しかしながら、風の流れは3次元であり、都市部や市街地などでは複雑な流れであることがほとんど。そのため、ビル風の検討を行う際、紙媒体の資料のように、実験・解析結果の一部分のみを切り出した2次元の情報だけでは、ビル風の全体像を把握しにくく適切な対策が容易ではない場合がある。そこでビル風の原因をより簡単で正確に把握するため、複雑な風の流れを視覚的にとらえることができる技術を開発した。

今回開発された技術は、「流体解析」と「VRアプリケーション(VRアプリ)作成」の二つのシステムで構成されている。「流体解析」部分では、解析結果で得られた風速や風向のデータを指定のフォーマットで出力し、「VRアプリ作成」部分で、この解析データと建物周辺の3Dモデルを用いてVR空間で風の流れを可視化するアプリケーションを作成する。アプリケーションを作成するプラットフォームには、Unityを使用し、画像を投影する端末機にはGearVRを採用した。流体解析によって得られた風速や風向のデータをVR空間で可視化することで、目に見えない3次元の風の流れを、従来の方法に比べてよりリアルにとらえることができる。また、機器の持ち運びやすさや使いやすさ、さらに端末機のコストなどを考慮し、サムスンのGearVRを採用ており、Androidのスマートフォンで動作するため、専用のPCを用意する必要がなく、会社から離れた場所でのプレゼンテーションや打ち合わせへの対応する。

今回開発した技術は、特に専門知識を持たない人でも、「どこでどのように風が流れるのか」「強い風・弱い風がどこで吹くのか」を視覚的にとらえることができるため、設計者や顧客との合意形成のためのツールとして、また、強風による事故防止の注意喚起のためのツールとして大いに期待できる。観測データと組み合わせたVR空間でのリアルタイムの風環境の可視化、Augmented Reality(AR)やMixed Reality(MR)への拡張、オンライン(WAN)化といった機能の追加を重ねて、さまざまなケースで本技術を適用できるよう検討していく。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 13:30| 流通