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2018年02月05日

【流 通】積雪時の雪下ろしの判断に役立つ「雪おろシグナル」が新潟県で活用開始


京都大学、防災科学技術研究所と新潟大学の研究グループは、積雪荷重計算システムを開発した。このシステムを用いて推定される積雪重量分布情報を「雪おろシグナル」と命名し、新潟県の協力を得て活用を開始した。研究成果により、積雪の高さだけではわからない積雪荷重を知ることができるため、家屋等の建造物の倒壊を防ぐ雪下ろし作業のタイミングの判断に役立つ。これらの取り組みは、共同研究で行ってきた積雪重量分布推定手法の開発の成果が、雪国の安全な生活の向上のために実装される初めての事例となる。今後、これを全国の降雪地域で活用することを目指していく。
 
雪氷災害は毎年100名前後の死者を出しており、そのうち屋根雪処理中の滑落等、除雪中の事故は半数以上にのぼる。また、過疎高齢化が進行する中山間地域では、人手不足のため雪下ろしが困難になり、雪の重みによる空き家の倒壊が後を絶たない。

防災科学技術研究所では、スイスで開発された積雪変質モデル(SNOWPACK)を改良、応用し、複数の機関で観測されている気象データや積雪深のデータを解析して積雪の重量を計算するシステムの開発を行なっている。このシステムを活用して、雪下ろし作業のタイミングを適切に判断することにより、雪氷災害を軽減することを目指している。また同学と新潟大学では、全国の積雪量を把握するために、Web上で公開されている気象庁、自治体、国土交通省、研究機関等の積雪深の情報を収集して分布図として示す準リアルタイム積雪分布監視システムを開発・運用してきた。

同研究グループは、準リアルタイム積雪分布監視システムで収集された積雪深の情報とSNOWPACKを組み合わせて、新潟県内で観測されている積雪深から屋根に積もっている積雪の重量を推定する積雪荷重計算システムを共同で開発した。積雪重量情報の屋根雪対策への利活用に向けて、積雪荷重計算システムを用いて推定される積雪重量分布情報を「雪おろシグナル」と命名し新潟県で活用を開始した。「雪おろシグナル」は地理院地図上に分布図として表示されるほか、積雪荷重計算サイトにおいて、特定の地域における現在の積雪量や雪下ろしを実施した日を指定することで、それ以降に堆積した雪の量から現在の積雪重量を知ることが可能となる。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通