<< 前のエントリ合通ロジのトップページへ次のエントリ >>
2017年11月09日

【知 識】NTTドコモと群馬大など 神戸市で自動運転移動サービスの実証実験を実施


神戸自動走行研究会(※1)、NTTドコモ(以下「ドコモ」)、日本総合研究所(以下「日本総研」)、群馬大学は、2017年11月から12月までの約2か月間、神戸市北区筑紫が丘においてラストマイル自動運転移動サービスの実証実験を実施する。

この実証実験は、自動運転車両が実用化された際の用途として期待が高い「近距離低速モビリティ(※2)」について、住民が主体となって実施される。有人で低速走行の自動運転車両を用い、最寄りバス停、商店、病院などまでのラストマイルにおける移動サービスを、地域住民が一定期間体験することによって、用途や利用者数の確認のほか、適切な投資コストの把握、自動運転の関連技術の検証などを行う。

また、神戸市は、ドコモとの「ICT及びデータ活用に関する事業連携協定」のなかで行われる「ニュータウン住民の移動課題に対するICTを活用した解決手法を探索する実証事業」(以下「ICT事業連携協定実証」)の一環として実証実験に協まする。

大都市近郊に計画的に開発されたニュータウンは全国に約2,000箇所あり、そのうちの半数が1970年代前後に作られている。そうしたニュータウンでは、人口減少や少子・高齢化、施設の老朽化などによるオールドタウン化が進んでおり、それとともに公共交通の縮小・撤退が課題となっている。最寄り駅や商店街、病院などへの交通利便性が低下し、ますます住民が減少するという循環に陥っているニュータウンは少なくない。

神戸市北区筑紫が丘もそういった課題を抱えている。丘陵地を切り開いて作られた同地区には約2,000世帯、約6,000人が生活しているが、人口の40%が65歳以上であり、5年後には50%に上る見込み。普通免許を返納するなどでマイカーを手放す住民も増える一方、同地区には坂道が多いことからラストマイルの移動手段の確保を望む声が高まっている。そこで、これまでも筑紫が丘自治会が住民の移動課題の解決方法を検討し、また、神戸自動走行研究会代表であるみなと観光バスとの協議を進めてきた。

そのなかで、住民の自助・共助による、自動運転を活用した近距離圏内移動サービスという日本総研のコンセプトと、複数の顧客の需要に応じ、最適な時間に、最適なルートで、交通事業者にとって効率的な運行を可能とするドコモの「AI運行バス」技術等を連携させ、約2か月間、筑紫が丘自治会と神戸自動走行研究会が主体となって地域住民の日常生活としてのラストマイル交通のニーズを満たせるかを検証する、同実証実験を行う。

完全自動運転技術を用いた新たな移動交通システムの研究を進める群馬大学は、地元である群馬県の地域企業や自治体との協働にとどまらず、全国各地の地域社会が抱える交通課題の解決に貢献するため積極的な展開をしており、実証実験への参加はその一環となる。

また、神戸市は、同実証実験をドコモとのICT事業連携協定実証の活動の一環と位置づけ、市内の地域が抱える交通課題に関する情報の提供や、この実証実験で得られたデータの有効活用方法の検討を行う。
 
※1 神戸自動走行研究会
運転手不足と高齢化問題の解決策として自動走行の導入を研究する、神戸市の交通事業者による任意団体。発起人はみなと観光バスで、2017年11月7日時点でのメンバーは、近畿タクシー、六甲産業、有馬自動車

※2 近距離低速モビリティ
ここでは、ラストマイル移動手段として、住宅地で安全に利用可能な時速(最速20km/h程度)で移動する車両をさす

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:35| 知識