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2017年09月27日

【流 通】JFEスチール 高強度と高靱性を兼ね備えたニッケルフリー合金鋼粉開発


JFEスチールは、1000MPa級の高強度と、ニッケル(以下、「Ni」)含有合金鋼粉と同等の高靱性を備え、被削性にも優れた粉末冶金(※1)用途向けのNiフリー合金鋼粉『FM1000S』を開発した。

従来、高強度かつ高靱性の焼結部品には、Niが4%、銅(以下、「Cu」)が1.5%、モリブデン(以下、「Mo」)が0.5%含まれる、4%Ni合金鋼粉が使用されていた。これは、Ni、CuおよびMo添加により強度が、Ni添加により靱性が高まるためである。しかし、特にNiの原料価格上昇に伴う、コスト上昇が課題であった。

JFEスチールでは、すでに1000MPa級の高強度でNiフリーの合金鋼粉『FM1000』(※2)を商品化しているが、靱性が4%Ni合金鋼粉より低いという課題があった。そこで、『FM1000S』は粒子形状を不定形化し、更に粒子表層にMoを濃化することで、顧客での部品製造時に焼結を促進させ、焼結部品の組織中にある空孔を微細化させた。それにより、強度と靭性が向上し、Niを添加することなく、4%Ni合金鋼粉と同等以上の高強度と高靱性を実現した。また、FMシリーズの特徴のひとつでもある高い被削性も備えている。これによりNi添加が不要となり、『FM1000S』は4%Ni合金鋼粉に比べて大幅なコストダウンが可能になる。スプロケット(※3)など、自動車のエンジン・トランスミッション部品への適用を目指す。

※1 粉末冶金
鉄粉を金型に入れて圧縮し固め、焼結して、複雑形状でかつ精度の高い部品を作る技術

※2 『FM1000』
Niフリーで、かつお客様での焼結・熱処理を行った後に1000MPa級以上の強度を有する焼結体が得られる合金鋼粉

※3 スプロケット
チェーンと組み合わせて動力を伝達する歯車形状部品

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通