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2017年04月27日

【流 通】工業炉の高温排気を浄化・再利用する排気熱循環システム


NEDOは、パナソニックを助成先として、従来捨てられていた工業炉の排気熱エネルギーを高温のまま高効率に再利用する排気熱循環システムを開発した。このシステムは、高温排気中に含まれる不要な微粒子に電界を利用して高効率に分離除去し、浄化した排気を再度炉内に戻して利用するもので、このシステムをリフロー炉に実装し、500時間以上の連続運転で微粒子の集塵率91%、排気熱エネルギー回収効率75%を実現した。

工業炉などの加熱処理を要する熱プロセス工程で消費するエネルギーはモノづくり全体の大半を占めており、最も早期に省エネルギーの対策を打つべき分野と考えられる。その中で、全工業炉の排気熱損失の70%を200℃未満の排気が占めており、工業炉の省エネに向け、これら排気熱エネルギーの再利用技術の開発が必須となっていた。

今般、NEDOプロジェクトにおいて、パナソニックは、従来捨てられていた排気熱エネルギーを、電気等に変換利用するのではなく、熱を高温のまま高効率に再利用するために、汚れた排気を炉外にそのまま排出せずに、排気中に含まれる不要な微粒子(溶媒、フラックス(※1)等)に電圧がかかっている空間の状態、いわゆる電界を利用して高効率に分離除去することで浄化した排気を再度炉内に戻して利用する排気熱循環システムを開発した。なお、この実証システムを設計、試作して量産現場のリフロー炉(※2)に実装し、500時間以上の連続運転により性能評価等実施した結果、微粒子の集塵率91%、排気熱エネルギー回収効率75%を実現した。

※1 フラックス
はんだの粉末と混合してペースト状にするために用いる成分をフラックスと呼びます。役割は基板電極の酸化膜除去によるはんだ付け性能の向上や、はんだペーストの印刷性向上です。主成分であるロジン(松ヤニ)成分が加熱により炉内に飛散することで炉内を汚染するため、排気による排出または回収ユニットによる除去が必要

※2 リフロー炉
電子部品の実装基板上にはんだペーストを印刷し、その上に部品を載せてから熱を加えてはんだを溶融、電気的な接続をする方法をリフローはんだ付けと言い、その加熱装置をリフロー炉と言います。主に表面実装型の電子部品の実装に用いる

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通