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2016年12月06日

【環 境】トヨタ自動車 世界初となる電解液中のリチウムイオンの挙動観察手法を開発


トヨタ自動車(以下、トヨタ)は、リチウムイオン(以下、Liイオン)電池が充放電する際の電解液中のLiイオンの挙動を観察する手法を世界で初めて開発した。この手法により、Liイオン電池の性能低下の原因の一つであるLiイオンの偏りをリアルタイムで観察することができ、プラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)の航続距離や電池寿命といった電池の性能・耐久性向上に不可欠な研究・開発指針が得られる。

Liイオンの偏りが生じるメカニズムを解明するにあたり、これまでの手法では製品の環境・条件と同一の状態で電解液中のLiイオンの挙動が確認できないという課題があった。こうした課題を解決するために、今回、新たに観察手法を開発した。その特徴として、一つは、レントゲン装置の約10億倍の大強度X線を用いて、0.65ミクロン/ピクセルの高解像度かつ100ミリ秒/コマの高速計測を可能としたことが挙げられる。もう一つは、多くのLiイオン電池で使用されているリンを含む電解液ではなく、今回新たにリンに比べX線を透過させにくいという性質がある重元素を含む電解液を使用することで、X線透過後の撮影画像における影の濃淡が強くなるため、重元素の挙動を観察することにより、電解液中で重元素と結合しているLiイオンが偏る動きの観察を可能としたことが挙げられる。

今後、正負極やセパレーター、電解液の材料や構造、電池の制御の違い等によるLiイオンの挙動を観察し、電池性能低下のメカニズムを解析することで、搭載車両の航続距離や電池寿命といった電池の性能・耐久性向上に向けた研究開発につなげていく。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:20| 企業の取り組み 【機関別】