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2016年11月09日

【知 識】三井化学と富山大学 敗血症に関する新たな検査システムを事業化


三井化学と富山大学は、製品化を目指している敗血症の原因菌を迅速に同定する新たな検査法(Tm mapping法)の共同研究が、日本医療研究開発機構(以下、AMED)「産学連携医療イノベーション創出プログラム」イノベーションセットアップスキームにおいて、代表機関:富山大学、セットアップ企業:三井化学として採択された。

研究開発課題名:「新たな起炎菌迅速同定・定量技術を基盤とし、菌数を敗血症の新規バイオマーカーとする検査システムの開発」

近年、がん治療や臓器移植などの医療の高度化に伴い、重篤な感染症のリスクが増えている。実際、入院患者の主な死因は敗血症などの重篤な全身感染症であり、敗血症による死亡率は非常に高く、重篤な感染症患者を救命するためには、患者体内の感染症の起炎菌を迅速に検出・同定することが臨床上重要とされている。現在行われている血液培養検査は必ずしも完全ではなく、また、培養後に行う一般的な生化学的性状検査法では、検体提出から起炎菌の同定まで通常2〜3日を要している。結果が判明するまでの間は経験に基づく治療を施行せざるを得ず、同定結果の無いままに抗菌薬の選択を余儀なくされており、その結果、多剤耐性菌の出現や、抗菌薬の選択ミスにより重篤患者が致死的となる危険性など、感染症早期の治療では未だ重大なリスクを抱えている。

これらの問題解決のため、三井化学は富山大学が開発したTm mapping法の実用化に向けた共同研究に取り組んでいる。この検査法は、血液培養を行わず、採血から3時間程度で未知の起炎菌を同定する新たな遺伝子検査法で、感染症早期に同定結果に基づいた適切な抗菌薬選択が可能になる。三井化学は、同定のための検査キットを研究用試薬として提供すべく、2016年度末までに生産体制を構築する予定にしている。最終的には、体外診断用医薬品としての上市を目指して開発を進めている。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:30| 知識