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2016年07月25日

【アジア】三菱電機 シンガポールでコンパクトな工業排水処理・再生システムの共同実験

三菱電機は、シンガポールSembcorp Industries Ltd(以下、セムコープ社)と、三菱電機が開発したオゾン水洗浄式・浸漬型膜分離バイオリアクター(以下、Eco−MBR(※1))を工業排水の処理・再生システムに適用するためのラボ実験を共同で行うことに合意し、覚書(MOU(※2))を締結した。

三菱電機が開発したEco−MBRは、これまで1700台以上の納入実績を持つオゾン発生装置の技術を活かし、高濃度オゾン水でろ過膜を洗浄して目詰まりの原因となる有機物を分解・除去することで、従来型MBRと比較して膜表面積あたり2倍以上(※3)の処理水量を実現した。ろ過膜本数を減らすことができるため、省エネ化・コンパクト化できる。

生活水準の向上や産業の発展により、全世界において水資源の確保が必須となっている。なかでも、シンガポールは水資源不足が深刻化しているため、下水や工業排水の再利用に積極的に取り組んでおり、現在水需要の30%を再利用水でまかなうことができる。

共同実験は、シンガポール経済開発庁(EDB(※4))とセムコープ社が共同で実施しているILL(※5)の一環として行われ、セムコープ社が管轄するジュロン工業団地の排水処理プラントの汚泥を用いてEco−MBRの工業排水処理における基本性能(flux※6や薬品使用量等)を検証する。

今回のラボ実験でEco−MBRの性能検証を行った後、実設備規模の機器を使用した実証実験を実施する。
三菱電機は、工業排水の他、公共下水を使用した実証実験にも取り組み、2018年度のEco−MBRの事業化を目指す。今後、需要拡大が見込める海外の再生水市場にコンパクトで経済的な下水・工業排水の処理・再生システムを展開することで、持続可能な水循環型社会の実現に貢献する。


※1:MBR:Membrane BioReactor
※2:MOU:Memorandum of Understanding
※3:一般的なろ過膜を使用した浸漬型MBRとの比較(2016年7月11日現在、三菱電機調べ)
※4:EDB:Economic Development Board
※5:ILL:Industrial Living Lab
ジュロン工業団地内のセムコープ社が所有する排水処理施設やゴミ燃料化施設を利用した実証試験や共同研究
※6:flux:単位時間当たりのろ過膜表面積あたりの処理水量

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:30| アジア