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2016年06月01日

【流 通】台風発電システムの実用化に向け共同事業開始


日本ユニシスとチャレナジーは、台風や、いわゆる爆弾低気圧などの強風環境においても発電可能な「次世代風力発電サービス」の開発、および事業化を共同で推進していくことに合意した。両社は2016年8月7日から沖縄県南城市において、さまざまな風況下でのより安定的な電力供給を実証するための共同実験を開始する。

日本ユニシスとチャレナジーが開発に着手する「次世代風力発電サービス」は、世界初となるチャレナジーの「垂直軸型マグナス式風力発電機」と日本ユニシスの「EnabilityRシリーズおよびIoTビジネスプラットフォーム」を統合し、発電機の稼働状況、異常検知などの遠隔運用監視をワンストップのサービスとして提供する。マグナス効果(※1)を利用した垂直軸型マグナス式風力発電機はプロペラ式風力発電機と比較して、強風環境における耐久面で優位な製品であり、2015年12月の強風域を模した風洞実験環境では風速20m/s下での性能検証に成功した。

わが国の一次エネルギー自給率(※2)は、OECD加盟国34カ国中33位と先進国の中で二番目に低い水準となっている(経済産業省 資源エネルギー庁「長期エネルギー需給見通し」より)。
日本政府は2030年までに、この一次エネルギー自給率を24.3%まで改善することを目指し、さらなる省エネルギーの推進に加え、再生可能エネルギーの最大限の導入を基本方針としている。政府の試算によると国内の再生可能エネルギーの導入ポテンシャルは、洋上風力13.8億kW、陸上風力2.7億kW、太陽光1.9億kW、中小水力898万kW、地熱233万kWであり、風力発電のポテンシャルは圧倒的に高くなっている。

しかし、従来のプロペラ式風力発電機は風向きや落雷の影響を受けやすく、またプロペラ部分の事故が多数発生していることから、政府は3年ごとの定期検査を義務化する方針を固めている。ただしIoTの活用による常時監視・予兆把握技術が導入される場合には、検査時期を延伸、または検査期間を短縮するなどのインセンティブ措置も検討しています。

※1 マグナス効果
ドイツ人科学者マグナスが大砲の弾が狙いから外れる仕組みを研究する過程で発見した原理。野球のボールも同じ原理が働く。ボールが回転しながら向かい風を受けると垂直方向の力が発生する。縦逆回転のストレートボールには上向きの力、カーブボールなどの順横回転系のボールには横下向きの力が発生する。回転が速いほど強く作用する

注2 一次エネルギー自給率
自国内で確保することができる一次エネルギーの比率をエネルギー自給率といい、
一次エネルギーとして石炭、石油、天然ガス、水力・地熱などが挙げられる。日本政府は原子力を「準国産エネルギー」と位置付け、一次エネルギーとしてカウントしている。日本はエネルギー資源のほとんどを海外からの輸入に頼っており、一次エネルギー自給率はわずか6%(2012年)にすぎない

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通