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2016年04月13日

【流 通】北野天満宮と住友林業 “北野桜”の組織培養による苗木増殖に成功


北野天満宮と住友林業は、北野天満宮社務所前にあり、開花の進行とともに花の色が変化する珍しい品種である御神木“北野桜”の苗木の増殖に、バイオテクノロジーのひとつである組織培養法によって成功した。両者は保護と増殖を目的として、北野桜の増殖に関する研究開発を進めてきた。

開花後は白色から桃色へと、開花の進行に合わせて変化する“北野桜”は、樹齢70年以上と推定され、住友林業の桜DNAデータベース(※)と遺伝子情報を照合したところ、合致する品種がなかったことから、新品種の可能性が高いと考えられている。

北野天満宮では、近年世界中で猛威を振るうPPV(プラムポックスウイルス,ウメ輪紋ウイルス病)の梅への感染など不測の事態が発生する前に、“御神木 紅和魂梅”など貴重なウメを後世に引き継ぐべく、様々な樹木の組織培養・苗生産技術の成功実績を持つ住友林業に梅の組織培養による増殖の技術協力を依頼すると同時に、大変珍しい桜である北野桜についても、酸性雨や温暖化など急激な環境変化により、樹勢が衰え始めていたことからその保護と増殖のため、組織培養による増殖を依頼した。
組織培養法の中でも、“茎頂(けいちょう)”という芽の先端組織を材料に用いた「茎頂培養法」という手法で増殖した苗は、対象となる樹木の樹齢と比較して“幼若化(若返り現象)”すると言われている。貴重な樹木の保護・保存および後世への承継の観点より、同組織培養法を選択し、2014年に北野桜の増殖に関するプロジェクトをスタートさせた。研究開発に携わった住友林業筑波研究所では、これまでに成功した桜や梅などの培養実績や文献を参考に実験を繰り返し、2年の歳月を経てこのたびの成功に至った。

※ 住友林業は、2011年3月に森林総合研究所、国立遺伝学研究所、遺伝学普及会と共同で、DNAマーカーによる識別技術を活用してサクラの栽培品種を確実に識別する手法を確立。250以上あるといわれているサクラの栽培品種の中で、DNAを入手できた約200品種についてのDNAデータベースを作成した。これにより、確実にサクラの栽培品種を識別することが可能となり、同時に、長い歴史を持つ栽培品種間の関係を明確にすることが可能となった

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通