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2015年11月20日

【知 識】カゴメ 日本電気と共同で最先端トマト栽培技術の開発に着手


カゴメは、2015年3月より、日本電気(NEC)と共同でビッグデータを活用した最先端の加工用トマト栽培技術の開発に着手している。

トマトは世界で1億4,000万トンと最も消費されており、その内訳は、生食用トマトが1億トン、加工用トマトが4,000万トンとなっている。今後も世界的な人口増に伴い需要が更に拡大し、加工用トマトに関しては2021年にはさらに1,000万トンが必要になると予想されている。

一方で、このような将来のトマトの需要増に対応するためには、現在の世界の供給体制だけでは難しく、カゴメは、新たな農業技術開発による既存産地においての単収(面積あたりの収穫量)アップや、これまで主要産地ではなかった国での新たなトマト産地育成などに取り組んでいる。

カゴメは、新たな農業技術開発の取り組みに関し、より効率的な加工用トマト栽培の実践に向け、農業分野でのICT(情報通信技術)の活用に着目した。ICTを活用することで、経験に頼ることが多い現場の農業に、科学的検証に基づき、多くの人が実践できる効率的な農業技術を普及する。また、最低限の資源投入(水、肥料など)による最大限の収穫量/品質を達成することで、農業の高付加価値化と環境にやさしい農業の実践を目指す。

2015年3月より、カゴメの現地子会社があるポルトガルの試験圃場において、NECと共同でNECのビッグデータ分析技術を活用した検証を開始した。具体的には、同圃場に設置した気象・土壌などの各種センサや人工衛星・ドローンなどから得られるデータと、灌漑・施肥などの営農環境から得られるデータを活用し、トマトの生育状況や気象条件に応じた水・肥料・農薬などの使用量の最適化と収穫量の最大化を検証した。2015年夏期シーズンを通じて技術の検証を実施した結果、以下の成果を確認することができました。

1)畑における水分・窒素ストレスを空間的に見える化し、圃場間で収穫量の差が生じる原因を分析
2)畑ごとの最適な栽培方法の導出が可能である
3)収穫の1か月前からでも、収穫量や収穫適期を正確に予測できる

2015年夏期シーズン、上記試験圃場における1ヘクタール当たりの単収は、ポルトガル平均の約1.5倍の146トンとなった。近隣の農地との比較では、20%程度の単収増にあたると推測される。NECのビッグデータ分析技術を活用した解析にて、こうした高い収穫量がなぜ実現できたのか、その原因を明らかにすることができた。

今回用いた技術のさらなる検証については、2015年10月より、カゴメの現地子会社があるオーストラリアにおいて開始している。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:35| 知識