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2015年08月04日

【流 通】JAおうみ冨士・パナソニック 双方向型農業管理システム「栽培ナビ」の実証実験


滋賀県のJAおうみ冨士と、パナソニックは、2015年8月よりJAおうみ冨士において、スマートフォン等の端末を使用して営農指導員と農業者を双方向につなぐ、農業ICT(Information and Communication Technology)管理システム「栽培ナビ」の実証実験を開始する。

JAに所属する営農指導員は、異常気象による突発的な病害虫発生や高温多湿による農作物の生育不良など、圃場(※)で日々おこる変化への迅速な対応に加え、頻繁に行われる農薬情報の変更など、農業者に対する責務と指導内容が近年大幅に拡大している。

今回、両者は、滋賀県で最大級規模の直売所を運営するJAおうみ冨士の保有する栽培ノウハウと、パナソニックが保有するICT技術を融合させ、クラウドサービスを介して営農指導員と農業者を双方向につなげる新たな農業ICT管理システム「栽培ナビ」を開発し、実証実験を行う。

「栽培ナビ」には、農薬を判定する機能と、「栽培計画」「栽培日誌」「圃場管理」など営農に関するデータを記録する機能を組み込んでいる。

従来、病害虫が発生した場合は営農指導員が都度現場へかけつけて確認をしていたため、時間的制約が大きく、病害虫の特定や農薬の判定など、病害虫の駆除作業に至るまでに時間がかかる傾向にあった。「栽培ナビ」では、スマートフォンなどの端末を利用して農業者から送付された病害虫の画像をもとに、営農指導員が病害虫をその場で即時に特定できる。これにより、農業者は特定された病害虫に適した農薬を自ら判定することができ、駆除作業までの時間短縮が図ることができる。さらに、農業者の農薬判定の履歴が自動的に残り、その判定履歴から散布履歴を読み込むことで、情報が営農指導員にも共有されるため、JAでは適正な農薬資材在庫の管理と効率的な運営ができるようになる。

また、営農に関するデータの記録機能を共有することで、今まで農業者の勘に頼ることの多かった日々の作業に対し、営農指導員がより迅速で正確な指導を行うことが可能になる。さらに、次年度の「栽培計画」を立てる際も、双方でよりきめ細かく、精度の高い検討ができます。将来的にはこのような栽培指標を活用し、新規就農者育成、農業法人内従業員教育にも応用できる。

JAおうみ冨士は、今回の実証実験を従来型の農業からの脱却、農業者のさらなる生産性向上に貢献するとともに、新たな農業取り組みの第一歩として位置付けている。

パナソニックは、今回の実証実験で同サービスの受容性・効果検証を行った後、2016年以降、滋賀県をスタートに、順次サービス地域を拡大していく予定にしている。また、将来的には、全国のJAをはじめ、農業生産法人、地方自治体、普及員、農業学校、試験研究所などの農業関係者へサービス提供を行い、農業者の生産性向上を支援する。

※ 圃場
作物を栽培する田畑

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:45| 知識