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2015年06月23日

【流 通】東芝 複数センサーによる分散センシングを実現するSmartBAN技術を開発


東芝は、複数のセンサーノードで計測した生体情報を無線経由でハブに集約するボディエリアネットワーク(BAN)技術を開発し、欧州電気通信標準化機構(ETSI)が進める医療ヘルスケア向け無線通信規格「SmartBAN」の標準化に取り組んだ。これにより、心電、脈波などの生体情報をそれぞれ適する部位で取得する分散センシングを実現する。

IoT(Internet of Things)の普及および健康意識の高まりから、手軽に個人の生活、健康状態を計測し、生体情報をはじめとする計測データを統合的に処理し、有意の情報をユーザにフィードバックできるウェアラブルデバイスが注目されている。

計測データの送受信において、現在は、1つのウェアラブルデバイスで取得したデータを1対1のBluetooth(R)通信でスマートフォンなどの外部機器へ転送する方法が主流となっている。しかし、本来、生体情報によっては好ましい取得部位が異なることから、今後はウェラブルデバイスが人体の複数個所に装着されると予想される。また、医療用途においては、高い信頼性も求められる。そこで、無線システムとして、生体情報に応じた許容誤り率での送受信や、緊急信号の低遅延伝送、他人との干渉回避を含む信頼性の高いBANが要求されていた。

東芝は、各生体情報に適する部位に装着した複数のセンサーでの計測情報を、センサー間の時刻を同期させたうえでハブとなるウェアラブルデバイスに集約する無線システムを開発した。制御チャネルと生体情報の送受信を行うデータチャネルの2つの周波数チャネルをハブが使用するシステム構成とし、近隣BANとの共存を図る。定期的に発生する可能性の高い生体情報の特性を生かし、データチャネルではタイミング割当てを基本とする送受信を行い、センサーの低消費電力化を実現する。また、生体情報の数値により発生する緊急信号は、割当て時間以外のタイミングも用いて低遅延で送受信する。転倒防止やスポーツモニタリングといったユースケースに応じてパラメータを選択することで、例えば、要求される送信頻度が低いスポーツモニタリングでは、送信頻度が高い転倒防止と比べ、平均消費電流を6割以下に抑えられる。また、各生体情報に適したフレーム長での送受信を可能とすることで、現在主に使用されているBluetooth(R) Smarに比べ生体情報伝送時の消費電力を50%弱に低減できる。今後、Smart BANシステムの試作機を開発し、ウェアラブルデバイスへの搭載を目指し、研究開発をすすめる。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:45| 流通