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2015年03月24日

【知 識】京都大学と不二製油 産官学連携で大豆の技術革新を共同研究


京都大学と不二製油は2015年4月1日より2018年3月31日までの3年間、産学共同講座<「不二製油」大豆ルネサンス講座>を創設する。同講座では、「大豆の原点」に立ち戻り、大豆に関する研究の深堀を行うことにより、新しい加工方法、健康に良い成分の強化法などを開発し、「大豆ルネサンス」と呼べるにふさわしい革新的技術の確立を目指していく。

大豆は日本人の食生活には欠かせない伝統的な食品素材。豆腐はほとんどの人に好まれる食品であり、味噌・醤油は和食の味には不可欠な調味料である。また大豆には、健康に寄与することが認められている多くの成分が含まれている。これは世界的に見て、今後不足が予想される食品たんぱく質の良質な資源としても重要な食品素材と考えられる。

不二製油では長年にわたり大豆に注目し、新しい加工技術の導入により、分離大豆たんぱく質やその分解物であるペプチドの生産を行い、食品の物性改良や健康維持に役立つ大豆食品を開発して来た。その背景には、現在起こっている地球規模での急激な人口増加と環境変化に対し、大豆は特にたんぱく質の栄養源として貴重な食料資源であると考えられることにある。しかし世界的に見た場合、大豆の大半は油脂の原料としてのみ利用されており、大豆そのものや、搾油した残りの部分を食品素材として利用することは、ほとんどなされていないのが現状である。それは、伝統的に大豆が油糧種子であると考えられて来たことに加え、多くの人にとって、大豆を原料とした食品の風味や物性が嗜好に合わないことに起因している。

これらの課題を解決するために、不二製油はもう一度大豆の原点に回帰し、大豆加工に最新の技術を導入する一方、新市場へのアプローチを行い、大豆に対して“食”としての“新たな価値創造”を行うことを目指す。そしてその結果、グローバルな大豆事業の規模・領域拡大が可能となることを「大豆ルネサンス」と呼んでいる。その具体的取組として、最近、丸大豆の成分をそのまま損なわず分離するUSS製法を開発し、従来の大豆食品に比べ格段に風味に優れ、また新しい用途に幅広く対応できるUSS素材の開発に成功した。これは一つの「大豆のルネサンス」と呼べるような進歩であると考え、すでに事業として展開している。しかしグローバルに見た場合、大豆の食経験を持つ人は少なく、それゆえ“食”としての研究も十分にはなされてはいない。従って大豆の研究を進めることで、革新的な食品素材が生まれる可能性は大きいと思われる。

そこで不二製油と京都大学は、大豆研究の深堀を進め、大豆に対する技術革新を行うことを目的とした、共同講座<「不二製油」大豆ルネサンス講座>を設立する。同講座では、不二製油が長年にわたり蓄積した大豆および大豆食品研究の知見を利用・発展させる一方、学術的に先端レベルの検討を行うため、京都大学大学院農学研究科の「品質評価学分野」(松村康生教授)および「食品分子機能学分野」(河田照雄教授)の2講座との共同研究体制を取り、風味/物性/栄養機能のいずれの点においても革新的な技術の開発を目指していく。さらに、産官学連携の重要なポイントである“得られた知見の迅速な実用化”を行う。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 知識