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2015年02月26日

【流 通】DNP 高速ブックスキャナーで東大図書館のデジタル化を開始


大日本印刷(以下 DNP)は、東京大学附属図書館の蔵書のデジタル化において、東京大学 石川正俊教授・渡辺義浩講師の研究チームと共同で開発した世界最速レベルの高速ブックスキャナーの試験運用を開始する。同スキャナーの利用により、貴重な蔵書や資料を傷つけることなく、効率的にデジタル化する手法を確立していく。

今回使用するブックスキャナーは、1分間に250ページという世界最速レベルで、書籍などを冊子体のまま1ページずつめくりながら撮影し、画像データとして保存する。この画像データの文字を光学文字認識(OCR)処理によってテキスト化し、検索可能なデータとして活用する。

東京大学附属図書館は、本郷キャンパスの総合図書館を大幅に拡充する「新図書館計画」の一環として、貴重な学術資料を次世代に継承し、膨大な蔵書を広く学内外の人々に活用してもらうため、デジタルデータとしての保存とその活用に取り組んでいる。 今回、DNPは、同図書館の書籍や学術資料などのデジタル化だけでなく、タイトル毎の書誌データの作成を行う。デジタル化する蔵書は、著作権が切れており、東京大学に過去所属した教員の著作物を主な対象としている。

電子書籍の利用が広がるなか、大学図書館では、主に特殊コレクションなどの貴重資料のデジタル化とWebサイトでの公開は行われているが、所蔵する書籍のデジタル化については、作業や処理の時間がかかることなどから、なかなか進まないのが現状である。具体的な作業としては、書籍を分解・裁断せず冊子体のままデジタル化する必要があるが、従来のブックスキャナーでは、文字や絵がゆがまないように、1ページずつ手でめくって平らにしてから撮影するため、読み取りに時間がかかるだけでなく、資料を破損させる可能性が高いことが課題となっていた。

紙の本から電子書籍を制作するノウハウを持つDNPは、2010年から東京大学の研究チームと共同で、この課題を解決する高速ブックスキャナーの開発を進めている。2012年には、機械による高速ページめくりの機能と、リアルタイムで書籍の3次元状態を認識する技術、高速でゆがんだ画像を補正するアルゴリズムを導入し、冊子体のまま、電子書籍の要求解像度での高速スキャンを実現した。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:34| 流通