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2014年01月21日

【知識】栄研化学 ジュネーブのFIND社と共同開発契約を締結





 栄研化学とFINDは、LAMP法を利用したシャーガス病の簡易・迅速診断法の共同開発契約を締結した。これは、栄研化学とFINDとのLAMP法を利用した結核、マラリア、アフリカ睡眠病、リーシュマニア症の簡易・迅速診断法の共同開発の延長である。

 シャーガス病は、クルーズトリパノソーマ原虫が寄生することで引き起こされる疾患であり、原虫はサシガメ類昆虫の糞便中に存在し、サシガメの刺創や擦創から原虫がヒトに感染する。また、輸血、垂直感染(母子感染)、臓器移植、実験室事故でも感染が報告されている。

 感染者は全世界で800万〜1,100万人いるが、その大部分はメキシコ、中央および南アメリカ地域で発生している風土病であり、顧みられない病気の一つとなっている。さらに中南米地域からの移民の増加が背景にあり、他の大陸にも広がりがみられており、シャーガス病対策が課題となっている。

 日本においては、中南米地域からの定住者が約30万人おり、輸血による感染を防ぐことを目的として、中南米に4週間以上の滞在をした方を含めて、2012年10月から献血受付時の問診を実施し、安全対策を講じている。

 シャーガス病は、感染後の早期に治療を開始すれば、ほぼ100%治癒する、ほとんどが無症状か軽度であり、持続感染者は心筋障害が進行し、突然死や心不全を来すことがある。このため特に、感染した母親から生まれた新生児のスクリーニング検査が重要であり、生後2〜3週間以内に検査を行うことが推奨されている。

 新生児のシャーガス病の診断には、抗体検査が母親の抗体が存在するためにできず、また、顕微鏡法では感度が低く十分な信頼性が得られないため、簡易・迅速な遺伝子検査が求められている。

 栄研化学とFINDは、LAMP法を利用した結核検査法をベースとして、新生児のシャーガス病の簡易・迅速な遺伝子検査法の開発に合意し、共同開発を開始する。


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投稿者:gotsuat 09:31| 知識