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2012年10月26日

【流通】一枚のシートで電子機器の無線通信と給電を実現する技術を開発

東京大学、日本電気、NECエンジニアリング、セルクロス、帝人の研究グループは、情報通信研究機構の支援を得て、電子機器の無線LAN通信と電力供給を、一枚のシート上で実現する技術を開発した。

同技術は、伝送シート近傍に閉じ込められた電磁波を、電子機器に装着した専用の部品(カプラ)で受けて、通信と給電を実現する。これにより、伝送シート上の場所を選ばすに、電子機器にマイクロ波帯の電磁波を使った高速通信と、伝送効率25%以上の給電を実現する。

従来、伝送シートを用いた通信と電力の伝送は、シートやカプラからの電磁波の漏洩が大きいこと、電力の伝送効率が小さいことなどから、実用化が困難だった。今回、シートとカプラの構造を見直し、電磁波制御技術と高効率伝送技術を開発することで、空間への電磁波の漏出を小さく抑えながら、高い伝送効率を実現した。

研究グループは同技術を用いて60cm四方の伝送シートを試作し、無線LANの周波数である5GHz帯で高速通信を行いながら、2.4GHz帯で4W以上かつ伝送効率25%以上の給電が可能なことを実証した。また、外部空間への電磁波の放射や、直接手で触れた際の人体への電磁波吸収は、電波防護指針(※)の基準値以下であり、実用化に向けて十分に安全なことを確認した。

開発した伝送シートを机の表面に設置することで、会議やオフィスにおいて、パソコンなどの機器へのシート表面だけに限った安全なコードレス給電と、他の無線LANなどとの干渉がない安定した通信を実現する。また、手元照明や扇風機などをコードレスで利用しながら、複数のディスプレイとパソコンをワイヤレスで通信するなど、快適に作業できるオフィス環境を実現する。

研究グループでは今後も開発を進め、同技術の早期実用化を目指す。


※ 電波防護指針
総務省(旧郵政省)が策定した、国際的なガイドラインに準拠した指針で、人体に影響を及ぼさない電波の基準値等が示されている

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:45| 流通