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2011年10月13日

【知識】島津製作所と島根大学 新生児マススクリーニングに関する共同研究契約を締結

島津製作所と島根大学は、タンデムマスを用いた新生児マススクリーニングに関する共同研究契約を締結した(研究期間:2011年10月15日〜2013年3月31日)。

新生児マススクリーニングは新生児から採血した血液を分析し、アミノ酸代謝異常等の先天性異常を早期発見して発症を予防することを目的とした検査で、日本では約30年前から実施されている。従来のスクリーニングでは6疾患を検査対象としているが、近年、タンデム型質量分析計を用いて28種類の疾患を発見できるタンデムマスという新しい技術が世界的に注目されている。日本でも一部地域でパイロット研究が実施されるなど重要性が認識されており、2011年3月31日には厚生労働省より都道府県に対して、タンデムマスを用いた新生児マススクリーニング検査の導入を積極的に検討する等の適切な対応を要請する文書「先天性代謝異常の新しい検査法(タンデムマス法)について」が通知されている。現在、日本における新生児のタンデムマス検査率は約20%だが、今後、さらに全国的に普及が進むことが予想される。

今回の共同研究では、島津製作所が2010年9月に開発したタンデム型質量分析計「トリプル四重極型液体クロマトグラフ質量分析計LCMS−8030」を新生児マススクリーニング研究の第一人者である島根大学医学部・山口清次教授のラボに設置し、約3万検体の分析を通じて、測定者の負担を軽減する分析メソッドおよびアプリケーションソフトウェアの開発をめざす。LCMS−8030はフロントLC(液体クロマトグラフ)として、注入動作時間を大幅に短縮し、極低キャリーオーバー、多検体連続測定が可能で、世界最高クラスの130MPaのシステム耐圧を備えるNexera MPを用いることで、試料中のごく微量成分の検出において世界最速のデータ測定スピードと高い信頼性を実現しており、迅速で正確なスクリーニング検査体制の構築に寄与できるとしている。

また、島津製作所のグループ会社・島津エス・ディーと山口教授が共同開発した、同社のガスクロマトグラフ質量分析計用のソフトウェアではスクリーニング後の精密精査が可能であり、LCMSを用いたスクリーニングとGCMSを用いた精査のパッケージ提案もできる。タンデムマスを用いたスクリーニングは中国やインド、インドネシア・ベトナムなど東南アジアや中近東などでも近年注目されており、海外でのこうした新しいニーズにも対応し、新生児の保健サービスの充実に貢献する。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:35| 知識