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2010年12月08日

【流通】関西電力 架空送電線の計画的な設備更新のための新技術を開発

関西電力は、架空送電線の設備更新を計画的に行うための新技術を開発した。

鉄塔間の架空送電線については、巡視や点検により設備実態を把握し、必要に応じて、計画的な設備更新を行っているが、電線に塩分や水分が付着・浸透すると、内部のアルミ線が腐食することがある。

この内部腐食が進行すると、腐食生成物が発生し、電線が膨れて太くなるため、現在は、鉄塔上部および地上からの目視点検や、電線への宙乗りによる点検等により、腐食の進行状況を把握している。しかし、このような外観点検では、内部腐食の定量的な診断が難しく、内部で進行している腐食の状態まで検出できないことから、環境条件による架空送電線の改修時期推定手法と、X線による電線劣化検出システムを開発した。
具体的内容は以下のとおり。


【環境条件による架空送電線の改修時期推定手法の開発】

同社はこれまでも、地域的な劣化状況を予測して、設備更新を行っているが、今回、海岸からの距離や風向、温湿度などから算出した架空送電線の周囲の環境条件(飛来する塩分量と湿度80%以上の状態が継続する時間)と、当該地点の撤去電線の状態との関係を分析することで、架空送電線の改修時期を推定する手法を開発した。
これにより、環境条件から定量的に架空送電線の劣化状況および改修時期を管内全域にわたり同じ基準で推定することができ、効率的な設備の維持・更新が可能となる。今後、同社管内全ての架空送電線の環境条件を算出するとともに、撤去電線のデータ収集・分析も進め、推定手法の精度を向上させながら、設備改修計画の立案に活用する。


【X線による電線劣化検出システムの開発】
架空送電線の腐食については、外観点検では初期のうちに発見することは困難であり、ある程度腐食が進行し、電線が太くなってから検出している。
同社は、ジェイ・パワーシステムズおよび九州電技開発と共同で、電線のX線撮影画像を用いて、腐食を検出する新技術を、世界で初めて開発した。
具体的には、電線にX線を照射した場合、腐食の進行具合によって、その透過量の分布が異なることから、測定した電線のX線透過量の分布を画像処理し、これまでに蓄積した画像と比較することで、腐食の程度を検出するもの。
これにより、電線が太くなる前の初期段階での腐食検出が期待でき、より設備実態に基づいた計画的な設備更新が可能となる。今後、データの更なる蓄積による精度向上等を行いながら、実用化を検討する。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通